中学校授業で残酷ビデオ 男性教諭、「南京事件」と説明(産経新聞)
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昭和12年に旧日本軍が南京を攻略した際、大虐殺があったと主張されながら、信憑(しんぴょう)性が疑われている「南京事件」をテーマにしたとみられるビデオを、島根県隠岐の島町の中学校が、平成17年に道徳の時間に見せていたことが28日、分かった。同町教委は「事実関係を確認したい」としている。この中学校では12年にも社会科の授業で同様のビデオを使い問題になっていた。
複数の生徒の証言によると、17年7月ごろ、当時の2年生1クラスの約30人が「道徳」の時間に男性教諭から見せられた。ビデオは白黒で、殺戮(さつりく)シーンがほとんど。男性教諭から「南京大虐殺」と説明され、「給食を食べる気をなくした」、「残酷なシーンが多く、気分が悪くなった」という。
(中略)
歴史問題に詳しい八木秀次・高崎経済大教授は「南京事件のビデオは中国やインターネットなどで販売されているが、どれも捏造(ねつぞう)ばかり。子供たちに誤った歴史を一方的に押しつけ、悪影響を与える」と話している。
相変わらず産経新聞の記事はツッコミどころが豊富で知的刺激に富んでいますね。ツッコミどころが多すぎてどこから手を付けて良いものか迷いますが、まずは問題にされているビデオが流されたのが平成17年という辺りでしょうか。もう2年前、当時の校長ですらも「把握していない」代物をよくぞ発掘してきたな、と。当時の2年生に対して2年前の上映と言うことは生徒も既に卒業済みのはず、それを今になって掘り出してきた記者のセンスに脱帽です。
さて、問題のビデオの内容については、どうやら「複数の生徒の証言」から類推されたもののようで、現物がどんなものであるかは不明のようです。フ~ム、どんな内容だったのでしょうか? 学校を出てから、自分の先生は日教組でこんな風に酷かった云々と、自らの過去を捏造してしまう人も少なくない昨今、証言ばかりを鵜呑みには出来ません。百歩譲っても殺戮シーンばかりであったにしても、前線の兵隊にとって戦争のイメージとはそんなものなのではないでしょうかね。大本営にふんぞり返る人間が思い描く美化された戦争イメージを植え付けることの欺瞞に比べれば遙かに誠実だと思うのですが。
ちなみに八木秀次氏は歴史問題に詳しいらしいです。八木秀次氏は法学者だったはずですし、少なくとも彼の歴史観は歴史学者からは全く相手にされていませんが、まぁいいのでしょうか。氏のコメントの内容は「アンタが言うな!」という感じものですが、文学的にちょっとおもしろいのは「南京事件のビデオは中国やインターネットなどで販売されている」の辺りですかね。「中国やインターネット」と、中国とインターネットを等価に並べた表現が何か引っかかります。全く異質のものを並列されると妙な違和感を感じないでしょうか。「カップ麺は日本やコンビニで販売されている」とか「音楽はイングランドや路上で演奏されている」とか、そんな違和感です。ちょっと意地悪なツッコミかな?
退職勧奨:「子の障害」も例示した文書を通知 都教育庁(毎日新聞)
↑本当はこっちのニュースの方が重要な気がしたのですが、あまり付け加えるところがないので、とりあえずリンクだけ張っておきます。昨今の教育行政がいかにどん底の状態にあるか、是非お読み下さい。
>同町教委は「事実関係を確認したい」としている。
地元の教育委員会ですら、事実関係を未確認な段階でここまで書くというのも、いくら産経新聞とはいえ、相当な記事ですね。この新聞の読者は、こんな記事を読んで不審に思わないんですかね。
>昭和12年に旧日本軍が南京を攻略した際、大虐殺があったと主張されながら、信憑(しんぴょう)性が疑われている「南京事件」
日本政府ですら、南京事件の存在は(規模は議論があるにしても)認めているのに「信憑(しんぴょう)性が疑われている」とまで書くのも(毎度おなじみですけど)馬鹿ですね。疑っているのはあんた達とお友達だろ。
>「南京事件」をテーマにしたとみられるビデオ
ビデオの内容は詳らかでありませんが、南京事件のビデオを(かどうかすら、厳密にはわかりませんけど)「残酷ビデオ」と、スプラッター映画か何かのように捉える神経は、人間性の欠如すら感じさせます。
こちらこそ、はじめまして。
いやはやなんとも、事実関係が曖昧なものを推測だけで一方的に肉付けしたいかにも産経らしい記事ではありますが、こういう代物が好きな人もいるのでしょうね。「サヨク教師」を批判したい人にとっては記事の信憑性など度外視、何か口実があればそれに飛びつきたい、そんなところでしょうか。その辺の人にとっては丸木位里の作品や「はだしのゲン」などもスプラッタ映画と同列に見えるのかもしれませんが、そういう感性こそが残酷と言われるべきでしょう。