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鈴木氏は「低価格戦略は打開策にならない」を持論としており、林氏との対談の中でもダイエーが衰退したのは「安さから抜けられなかったから」と分析している。だが、100円コーヒーが大ヒットした要因のひとつは、100円という安さである。セブンが100円を前面に押し出したため、他のコンビニも淹れたてコーヒーの値段を100円に値下げして対抗せざるを得なくなった。セブンの100円コーヒーは低価格競争の勝ち組の商品ともいえる。鈴木氏は「値段を下げればいいという時代ではない」と常々語っている。しかし、セブンの価格設定は、「類似した商品であれば、ライバル各社と比べて10円から20円安いケースが多い」と外資系証券のアナリストは指摘している。こうしたセブンの取り組みは、増税による低価格志向を先取りしているとも受け取れる。
一方で、食品メーカーは円安の影響による原材料価格の高騰により製品の値上げラッシュだが、消費増税による売り上げの戻りが鈍い小売り企業としては、消費者を呼び戻すために安売り一色になる可能性もある。
そんな中、東京、神奈川、千葉、埼玉に270店を展開する食品スーパー、マルエツは消費増税後の4月に前年実績を割り込んだが、安い商品と高めの品揃えを同時に強化する二面作戦が功を奏し、5月からはプラスが続いている。14年3~8月期の営業利益は前年同期の2.3倍の23億円となり、今後、首都圏に年10店以上、新規出店するという。
これから本格化する歳末商戦では、小売り各社が安売りに走らず、鈴木氏が述べるように低価格戦略から脱却することはできるのか。今後の売り上げ回復を占う上で、小売り業界は重要な局面を迎えているといえよう。
(文=編集部)
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