2月22日〜23日に開催された、社会を変える化学反応を生み出す「MASHING UP」に登壇した、インフルエンサーマーケティングでいま話題のindaHash共同創業者のバーバラ・ソルティシンスカ氏。仮想通貨でブランド、インフルエンサー、ユーザー全員がWin-winとなる世界を実現しようとする構想について語った。
日本でも注目が集まるインフルエンサーマーケティング。DIGIDAYが実施したアンケートでも、回答者の45%がブランド認知向上のためにインフルエンサーマーケテングを活用したいとする一方、半数以上がキャンペーンに最適なインフルエンサーの発掘やインフルエンサーのマネジメントに苦労している現状がわかった。
そんなインフルエンサーマーケティングに一石を投じようとする女性起業家がいる。世界的なブランド企業とソーシャルインフルエンサーを繋げるための完全に自動化されたプラットフォームを運営するindaHash(インダハッシュ)の共同創業者 兼 CEOのバーバラ・ソルティシンスカ氏だ。
同社は2016年に創業し、わずか2年の間に70の国と地域で50万人以上のインフルエンサーを獲得して急成長を遂げている。2017年11月には、インフルエンサーマーケティングにおける決済を効率化させることを目的に、仮想通貨の導入とICOを発表してさらなる話題を呼んだ。「インフルエンサーマーケティングの自動化、さらにトークナイズすることが目標」と語るバーバラ氏。社会を変える化学反応を生み出す「MASHING UP」(2月22日、23日開催)に登壇した同氏に、インフルエンサーマーケティングで目指す世界観について話を聞いた。
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目指すのは、完全なオートメーション
現在のインフルエンサーマーケティングでは、ブランドによるインフルエンサーの発掘にはじまり、価格の交渉、成果物のチェックからマネジメントまでプロセスが非常に多く、効率が悪い。この課題に対して、すべてのプロセスを自動化できないかと考えたのが、indaHash創業のきっかけだ。
「indaHashが注力するのはセレブではなくマイクロインフルエンサー。モバイルアプリを通じて、ブランドとインフルエンサーを簡単に繋ぐことができ、キャンペーン実行までの煩雑なプロセスも自動化できるのが強みだ」。

indaHashの仕組み
ブランドやエージェンシーはindaHashのプラットフォーム上でキャンペーンを生成、ハッシュタグやオーディエンス、アーキタイプ別にキャンペーンに適したインフルエンサーを検索できる。indaHashではエンゲージメント率など過去のキャンペーン実績に応じて、インフルエンサーをランク付けしており、企業への提案だけでなく、インフルエンサー側の教育など、最適な組み合わせが実現するように支援を行う。
同社は、すでにサムスン(Samsung)やオレオ(Oreo)、ファーウェイ(Huawei)、マクドナルド(McDonald)などこれまでに1300以上のFortune 500ブランドのキャンペーンに貢献している。
「業界をトークナイズする」
彼女がインフルエンサーマーケティングで目指すのはさらなる高みだ。2017年末にICOを実施しただけでなく、現在の支払いに仮想通貨を活用するため、ブロックチェーン技術・イーサリアムを活用した自社の仮想通貨「indaHash Coin(インダハッシュ・コイン)」を発行した。
すでに仮想通貨取引所に上場しており、取引が開始されている。3月にはモバイルアプリとも連携させる予定だという。これにより即時決済が可能になるだけでなく、インフルエンサーがトークンによる支払いを選択した場合、報酬の受取額が現金より20%増となる。
「金融機関による既存の決済システムでは、indaHashが実現しようとする効率化されたインフルエンサーマーケティングのニーズには付いていけない。自前のトークンを発行することで、決済プロセスも簡素化・効率化することができる」。
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indaHashコインについて
発想も斬新なら、その拡散方法もユニークだ。インフルエンサーマーケティングを知り尽くした同社らしく、仮想通貨界隈のインフルエンサーにアプローチ。100以上の仮想通貨関連のYoutubeチャンネルを巻き込んだだけでなく、バーバラ氏自身もYoutubeでインフルエンサーとのインタビュー動画を配信。さらに、仮想通貨関連のネットワークや情報収集の手段として利用されているメッセージツール「Telegram(テレグラム)」を活用し、1万3000人以上が参加するインフルエンサーコミュニティを作った。
「当初はインフルエンサーマーケティングと仮想通貨は関係ないと、仮想通貨の業界関係者には批判された。しかし蓋を開けてみたら、Telegramのコミュニティには仮想通貨界隈のインフルエンサーも多数参加しており、積極的に活動してくれている」。
日本市場は大きなポテンシャル
「日本は、企業も多く、ブランドキャンペーンもグローバルに展開している。コンテンツのクオリティも高い。新しいソリューションにも前向きで、インフルエンサーマーケティングにおける企業からのニーズの高さを感じている」と語るバーバラ氏。
「ICOでは、日本は大手メディアに取り上げられたベトナムに次いで2番目に人気があった」。同社はすでに日本オフィスを設置し、仮想通貨関連で人気のあるYoutuberなどインフルエンサー探しも進めているという。
一方で、「日本企業には特殊な部分があり、それぞれのやり方に合わせるのに時間がかかった」と指摘した。「だからこそ、indaHashのプラットフォームを通じていかにインフルエンサーマーケティングを効率的に負担なく実現できるか見せたい」と、同氏は意気込みを見せる。
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今後の展望について語るバーバラ・ソルティシンスカ氏
Written by 亀山愛
Photo by MASHING UP