相次ぐビットコインの報道を見ても、「そもそもビットコインがよくわからない」と感じているあなたは、1人ではない。なぜなら米紙「ニューヨーク・タイムズ」も同じ趣旨の記事を掲載しているからだ。
この仮想通貨はさまざまな議論の的になってきたが、依然として読者に充分に理解されていない、と同紙は書く。そこで日本人も米国人も共通するであろう「10の基本的な疑問」への答えを翻訳紹介しよう。
「あの画像」はビットコインではない
Q ビットコインとは、記事と一緒によく出てくる画像(上図中央)で見るようなコインなのですか?
A いいえ。ビットコインは新しい概念です。マスコミがうまくビジュアルで説明する手段を見つけられなかったので、あのような画像を使うことにしたのです。
ビットコインは、物理的なモノとしては存在しません。デジタル形式の「トークン(token:代替通貨)」であり、世界中のどこでも、あるユーザーから別のユーザーに電子的に送信することができるのです。
1ビットコインは小数点以下8桁にまで分割することができるため、「0.00000001ビットコイン」を送信することだってできるのです。このビットコインの最小単位(ビットコインの世界での1ペニー〈1セント銅貨〉)は、ビットコインの匿名の開発者の名前にちなんで「サトシ」の名称で呼ばれています。
この、ビットコインのデジタルトークンが保存され移動する支払いネットワークのことも、「ビットコイン」と呼ぶことになっています。それでややこしくなっているという面もあるのです。
クレジットカードの「ビザ(Visa)」のような伝統的な支払いネットワークとは異なり、ビットコインのネットワークは特定の企業や人によって運営されているものではありません。
ビットコインは、物理的なモノとしては存在しません。デジタル形式の「トークン(token:代替通貨)」であり、世界中のどこでも、あるユーザーから別のユーザーに電子的に送信することができるのです。
1ビットコインは小数点以下8桁にまで分割することができるため、「0.00000001ビットコイン」を送信することだってできるのです。このビットコインの最小単位(ビットコインの世界での1ペニー〈1セント銅貨〉)は、ビットコインの匿名の開発者の名前にちなんで「サトシ」の名称で呼ばれています。
この、ビットコインのデジタルトークンが保存され移動する支払いネットワークのことも、「ビットコイン」と呼ぶことになっています。それでややこしくなっているという面もあるのです。
クレジットカードの「ビザ(Visa)」のような伝統的な支払いネットワークとは異なり、ビットコインのネットワークは特定の企業や人によって運営されているものではありません。
このシステムは、すべてのビットコイン取引の記録を保持する世界中のコンピュータの分散ネットワークによって運営されています。
作者や編集者の分散型ネットワークにより維持されている「ウィキペディア(Wikipedia)」に似たものだ、と考えれば理解しやすいかもしれません。
そして、これらのコンピュータ群が絶えず更新しているすべてのビットコイン取引の記録のことを、「ブロックチェーン(Blockchain)」と呼ぶのです。
Q なぜ犯罪者はビットコインを好むのですか?
A 個人情報を明かさなくても、誰でもビットコインのアドレスを開設でき、ビットコインの送受信を開始できるからです。これらの情報を収集する中央管理当局のようなものは、ビットコインには存在していません。
作者や編集者の分散型ネットワークにより維持されている「ウィキペディア(Wikipedia)」に似たものだ、と考えれば理解しやすいかもしれません。
そして、これらのコンピュータ群が絶えず更新しているすべてのビットコイン取引の記録のことを、「ブロックチェーン(Blockchain)」と呼ぶのです。
Q なぜ犯罪者はビットコインを好むのですか?
A 個人情報を明かさなくても、誰でもビットコインのアドレスを開設でき、ビットコインの送受信を開始できるからです。これらの情報を収集する中央管理当局のようなものは、ビットコインには存在していません。
ビットコインが最初に悪用された場所として、闇市場のウェブサイト「シルクロード(Silk Road)」が有名です。ここで2011年に麻薬密売人がビットコインでの支払いを開始した記録があります。シルクロードは2013年に閉鎖されましたが、類似のウェブサイトが次々と出現しています。
ビットコインを身代金に使う者もいます。たとえば、あなたのコンピュータがいわゆる「ランサムウェア」という悪意あるウィルスによって乗っ取られたら、犯人は「元に戻してほしければビットコインをよこせ」と言ってくるかもしれません。
Q なぜ政府はビットコインを閉鎖しないのですか?
A すべての残高と取引を含むビットコインネットワークの記録は、ネットワークの維持を支援するすべてのコンピュータに保存されています。2017年後半の時点で、約9500台のコンピュータが保存していると推定されます。
もし米国政府がこのネットワークに参加する米国人に向けて「ビットコインは違法である」と告げたとしても、ほかの国にはたくさんの記録を維持するコンピュータが稼働しています。だから、人々は変わらずビットコインの使用を続けることができるのです。
ビットコインを身代金に使う者もいます。たとえば、あなたのコンピュータがいわゆる「ランサムウェア」という悪意あるウィルスによって乗っ取られたら、犯人は「元に戻してほしければビットコインをよこせ」と言ってくるかもしれません。
Q なぜ政府はビットコインを閉鎖しないのですか?
A すべての残高と取引を含むビットコインネットワークの記録は、ネットワークの維持を支援するすべてのコンピュータに保存されています。2017年後半の時点で、約9500台のコンピュータが保存していると推定されます。
もし米国政府がこのネットワークに参加する米国人に向けて「ビットコインは違法である」と告げたとしても、ほかの国にはたくさんの記録を維持するコンピュータが稼働しています。だから、人々は変わらずビットコインの使用を続けることができるのです。
これがビットコインの「分散化」という性質です。政府の介入が嫌いなタイプの人々は、この分散化ゆえに、ビットコインを好む傾向があるのです。
Q ビットコインを利用する人が、何かの操作で自分のビットコイン残高を増やしたりできるのではないですか?
A 理屈としては可能です。すべてのビットコイン取引のデータベースである「ブロックチェーン」の維持を支援する人なら誰でも、自分の取引記録のコピーを変更することができます。
ただし、もし誰かが本当に変更を実行した場合には、記録を維持するほかの無数のコンピュータが、その変更による「不一致」を発見するでしょう。その結果、変更は無視されることになるのです。
Q ビットコインの合法的な利用法というのはあるのですか?
A 逆に、違法な取引はほんのわずかだと考えたほうがいいでしょう。ほとんどのビットコインの取引は合法です。ただし、いま主流になっているのは、投機する人々による取引所でのビットコインの売買です。高頻度で売買するトレーダー(投機家)のいる世界が、ビットコインに出現しています。
Q ビットコインを利用する人が、何かの操作で自分のビットコイン残高を増やしたりできるのではないですか?
A 理屈としては可能です。すべてのビットコイン取引のデータベースである「ブロックチェーン」の維持を支援する人なら誰でも、自分の取引記録のコピーを変更することができます。
ただし、もし誰かが本当に変更を実行した場合には、記録を維持するほかの無数のコンピュータが、その変更による「不一致」を発見するでしょう。その結果、変更は無視されることになるのです。
Q ビットコインの合法的な利用法というのはあるのですか?
A 逆に、違法な取引はほんのわずかだと考えたほうがいいでしょう。ほとんどのビットコインの取引は合法です。ただし、いま主流になっているのは、投機する人々による取引所でのビットコインの売買です。高頻度で売買するトレーダー(投機家)のいる世界が、ビットコインに出現しています。
アルゼンチンやベネズエラのような高インフレ状態にある国々の人々は、インフレによる貯蓄の目減りを防ぐために、現地通貨でビットコインを購入しているようですね。
最も人気のある使い方は、国境を越えた送金にビットコインを使用することだ、とされています。銀行経由での大規模な国際送金には数週間を要しますが、何百万ドル相当のビットコインでも数分で送金することができるのです。
ただ、これまでのところ、ビットコインの実用的な用途はそれほど普及してはいないようです。
Q どうすればビットコインを購入できるのですか?
最も人気のある使い方は、国境を越えた送金にビットコインを使用することだ、とされています。銀行経由での大規模な国際送金には数週間を要しますが、何百万ドル相当のビットコインでも数分で送金することができるのです。
ただ、これまでのところ、ビットコインの実用的な用途はそれほど普及してはいないようです。
そもそも誰が発明したのか
Q どうすればビットコインを購入できるのですか?
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From The New York Times (USA) ニューヨーク・タイムズ(米国)
Text by Nathaniel Popper
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