月経困難症

公開日:2016/03/29

最終更新日:2024/05/08

国立成育医療研究センター

この記事を監修したドクター

子どもと妊婦さんのための病院と研究所国立成育医療研究センター

共著:鶴賀 哲史 先生

女性は、生理の時に生理痛を感じますが、それが日常生活に支障をきたすほど強い症状となって表れるものを月経困難症と言います。

どんな症状があるの?

月経困難症は、生理の直前あるいは開始とともに、腹部や腰部の強い痛み、悪心(気持ちが悪くなること)、嘔吐、下痢頭痛など、さまざまな症状が現れます。

生理の終了前、あるいは終了とともに症状がなくなるのが一般的です。

症状はおもに「痛み」であるために、他の人と比べることが難しく、客観的に評価することもできません。そのため、統計的にもさまざまな報告があり、軽度の生理痛は生理のある女性の7割にみられるという報告もあります。重症例は、横になっていないと耐えられないほどで、まれではありますがショック症状を起こして緊急で治療が必要となることもあります。

月経困難症は2つのタイプがあります

月経困難症は、特に原因となる病気がないのに起こる「機能性月経困難症」と、痛みの原因となる病気がある「器質性月経困難症」の2つのタイプがあります。

1 機能性月経困難症
毎月の排卵→妊娠とならない→子宮が収縮し子宮内膜が剥がれ落ちて、血液と一緒に排出される、という生理の流れの中で、痛みや発熱などを引き起こす「プロスタグランジン」というホルモンに似た物質が作られ、腹痛や腰痛、気持ちが悪いといった症状が現れます。この「プロスタグランジン」の分泌が多い人が、痛みが強くなります。

2 器質性月経困難症
器質性とは、臓器や組織になんらかの病変が実際にあることを意味する言葉です。器質性月経困難症の原因となる病気には、子宮筋腫子宮腺筋症子宮内膜症などがあります。子宮筋腫は比較的若い人にもみられます。また、子宮内膜症は年々増加傾向にあり、同様に20代の前半の方にもよくある病気です。まれですが、子宮奇形なども月経困難症の原因になります。

         

どのように診断しますか?

まずは婦人科を受診することが重要です。婦人科では痛みのタイミングやどんな痛みなのか、初経からこれまでの痛みの経過などを問診します。月経困難症のタイプによって治療方法が変わるため、問診のほかに超音波検査などの画像検査も行います。

腫瘍がある場合には悪性の可能性もありますので、血液検査で腫瘍マーカーを測定したり、病理学的検査をしたり、MRI検査などより詳細な画像検査を行ったりすることもあります。痛みの状況によっては、腹腔鏡手術で子宮や卵巣などを観察することもあります。

月経困難症の治療は?

痛みの原因となる病気のない機能性月経困難症の治療は、痛み止め(鎮痛薬)を飲んだり、低用量ピル(LEP)を服用して排卵を一時的にストップさせたりします。

器質性月経困難症でも痛み止め(鎮痛薬)を飲む対症療法が有効な場合もありますが、対症療法に加えて痛みの原因となっている病気(器質性疾患)の治療が必要になることもあります。低用量ピルの内服、黄体ホルモン錠(ジエノゲスト)の内服、GnRHアナログ療法などのホルモン療法のほか、子宮内黄体ホルモン放出システム(子宮内避妊具の一つ)を子宮内に留置したりすることもあります。腹腔鏡手術や開腹手術(子宮や卵巣などの摘出)などにより病変を摘出することもあります。

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