イライラ
公開日:2016/05/17

この記事を監修したドクター
東京大学医学附属病院精神神経科 講師(病院) 市橋 香代 先生
女性は生理的にイライラしやすくできています
ある程度のイライラは、日常生活上、誰にでも認められる感情です。特に女性は、月経周期や妊娠・出産、更年期の影響で、これらの感情が男性より起こりやすい特徴があります。また、女性は男性より生物学的にストレス耐性が低いため、ストレスがかかると気分の落ち込みやイライラといった感情を感じやすくできています。
イライラを訴える患者さんに対しては、「セルフコントロール不可能」で「日常生活に障害が出る」ような、イライラを感じていることが多く、医療の援助と介入が必要なことがあります。
イライラに潜む病気があるかどうかを診断します
病院では、問診でイライラや落ち込み以外に、不眠や食欲低下(または亢進)、興味ややる気の減退、集中力の低下、物事に対する億劫さがないかどうかを聞きます。これらのイライラにともなうほかの症状が認められる場合は、うつ病を疑います。現在や過去の明らかなストレスによる場合は、適応障害、外傷後ストレス障害も考慮します。統合失調症などの精神疾患でも、これらの症状を起こす場合があります。
また、月経に関わる周期があるようなら月経前症候群(PMS)。更年期障害、妊娠の有無、出産によるホルモン変動も要因となります。
その他、内科の病気が根底にある場合もあり、末梢血検査・血液生化学検査も行います。内科的には、甲状腺機能障害が見逃されやすい疾患のひとつです。薬物の履歴、特にステロイド使用の有無も確認します。
どのように治療しますか?
産婦人科的な病気、内科の病気、薬物の関与が疑われれば、そちらに対する精密検査と治療が必要です。
これらがない場合は、ストレスの有無を確認して、ストレス源がある場合は環境を調整するようなアドバイスをします。
また、話をよく聞くことやカウンセリングで、患者さん自身に心の整理を行ってもらうことで安定が得られる場合もあります。
明らかなうつ病・適応障害などの精神疾患と診断できる場合や、薬を使わないケアだけでは、日常生活の障害が改善しない場合は、抗うつ薬や抗不安薬といった薬物療法が有効です。