金融危機以降、ドル暴落のリスクが日増しに高まっている。米国の財政赤字が急増し、貿易収支もほとんど改善されていない。 ピッツバーグで開かれた世界主要20カ国首脳会議(G20)で、世界経済が直面する最大の危機はその不均衡にあると指摘されている。中でも世界経済の不均衡をもたらす最大の問題は、米国経済の不均衡である。 米国の赤字体質を助長する外部要因となっているのが、日本と中国の貿易黒字体質である。日中は輸出依存の体質で、毎年巨額の貿易黒字を計上している点で共通している。 また、両国は貿易黒字で米国債を買いためて(外貨準備を増やし)、米国の財政赤字を支えている。したがって、世界でドル暴落を最も心配しているのは中国と日本であるはずだ。 「為替レート切り上げで貿易黒字が減少する」という誤解 貿易と外国為替の関係について、経済界には1つの誤解が存在する。それは、自国通貨の為替レートが過少評価されて安すぎ
