集団的自衛権の行使を可能にすることを柱とする、新たな安全保障関連法案をめぐる与野党の論戦が国会で続く中、2015年6月4日に行われた衆院憲法審査会では、政府による「自殺点」的なハプニングが起こった。参考人として呼ばれた、自公などが推薦した早稲田大学教授の長谷部恭男氏を含む憲法学者3人全員が、集団的自衛権の行使容認について「違憲」と表明したのである。 3人の学者には専門家としての学識と権威があるだけに、この影響力は小さくない。今後、野党の追及は勢いづくであろうし、また国民も、「違憲」との明快な視座が示されたことで、パッケージ法案の複雑さゆえに距離を置かざるを得なかった安保法制の問題に、ぐんと近づきやすくなった──。 3人の参考人の「違憲」表明から2日後の2015年6月6日。東京・本郷の東京大学で開催されたシンポジウム「立憲主義の危機」の盛況ぶりは、こうした事情を反映したものになった。 定員約
