――集団的自衛権行使容認の閣議決定について歴史家や政治学者は大きな進展と見ている。軍事専門家のプリズムを通して見るとどうか。とくに朝鮮半島有事の場合、この政策変更はどのような重要性を持つか。 人によってそれぞれ違う視点があるだろうが、私の視点はこうだ。日本には朝鮮戦争時に国連施設として設置された7つの基地がある。それらは米軍が使用できる基地でもある。ただし、その7つの基地だけでは米軍の主戦力を朝鮮半島向けに展開することはできない。7つの基地のうち空軍基地は3つに過ぎないためだ。つまり、米軍は他の基地や施設を利用しなければ、有事の活動ができない。 しかし、実際に(日本国内の)他の施設を使用できるのかどうか、不安がある。その解消のためには他の形で日米協定を結んでおけばいい。これは、それほど難しいことではない。ところが、それらの協定は「あくまでも集団的自衛権の問題に深入りしない」という条件になっ