図書館のガラス建築化とその思想 書物の価値そのものがデジタル・メディアの台頭により再考されつつある今日,大型の図書館が日本を含め世界各地につくられ,その多くがガラスに覆われている。 「さまざまなメディアを収集・蓄積しそれらを整理・保存して利用者に提供する」,この実用的かつ明確な目的を有する図書館がガラス建築化という変化を享受し,今尚その変化の途上にあることは,この必然的に図書館に内在する目的への建築家のアプローチ,建設テクノロジーの発展,保存されるメディアの形態とそれを扱う人々(管理者と利用者)の利用形態が大きく変化している過渡期にあるからといえるだろう。 図書館の変遷 歴史を振り返ると,図書館をめぐり変革が起こるという状況は今日が初めてでないことがみてとれる。 中世(12世紀以降)には,中国からシルクロードを通してヨーロッパへと拡まった製紙技術と印刷技術の開発により,長期保存に向かない