北里大(東京都港区)が厚生労働省の補助金を受けた科学研究事業で、約2700万円の不正受給があったとして、国に返還していたことがわかった。 同大は研究の実質的責任者だった元医学部教授(53)ら4人を処分して厚労省に報告したが、不正の事実を公表していなかった。「科学技術立国」を目指して多額の研究開発予算が投じられる中、その使途の透明性が問われそうだ。 読売新聞の調査や同大への取材によると、不正受給があったのは2007~11年度に行われた臨床研究の基盤整備に関する二つの研究プロジェクト。昨年まで副学長を務めた相沢好治・北里研究所常任理事(66)を研究代表者とし、計約4億8000万円の厚労科学研究費補助金を交付された。 研究の一環として元教授は、データ入力やシステム開発の作業を、自ら理事長を務めるNPO法人など3団体に委託。作業が期日までに20~60%しか終わっていなかったり、委託内容と違ったりし