(福島 香織:ジャーナリスト) 言論・思想統制の方法の中で最も野蛮なものの1つである「焚書」。秦の始皇帝の「焚書坑儒」(書を燃やし、儒者を生き埋めにする)は学校の世界史の時間でも習っただろう。秦の始皇帝の歴史的評価は諸説あるとしても、イデオロギーや政治的理由で書籍を破壊する行為というのは文明社会にとって、やはり悪だ。 だが中国では近年になっても、それに近いことが行われ続けてきている。今年(2019年)10月に中国教育部が各地の小中学校図書館に図書の審査整理を通達したことは、その最たる例といえる。 カザフ語の書籍を回収して処分 この“焚書”通達は、まず新疆ウイグル自治区地域の小中学校で行われていたことが海外メディアで話題となった。12月3日、新疆北部のイリ・カザフ族自治州の小中学校では図書館の蔵書の中でカザフ語で書かれた書籍やカザフ文化関連の書籍を生徒たちに集めさせ、処分した。米国の政府系メ
