1月26日、フランス・アンジェであった「黄色いベスト」のデモで掲げられていたプラカード。マクロンを吸血鬼に見立てている=石井徹撮影 私は1月末、フランス西部の街アンジェで、週末ごとに繰り広げられている街頭のデモを目の当たりにした。 数千人が声を上げる目抜き通りで、黄色いベストを羽織ったミシェル・プティトム(65)に話しかけると、「地球環境は心配だけれど、今はそれどころではない」という言葉が返ってきた。障害のある娘(31)の職場まで片道25キロを車で送迎する生活で、ガソリンや軽油へのさらなる増税は許しがたい。「年金生活で苦しい私たちから、さらにカネを取ろうとしている」 「パリ協定」の目標である脱炭素化を実現するには、企業や家庭がCO₂の排出量に応じて税金などを支払うカーボンプライシング(炭素の価格化)は避けて通れない。途上国を含めすでに45カ国25地域(2018年4月時点)で導入されているが