2025年1月にデビュー20年を迎えるミステリー作家の深町秋生さん(49)は出身地の山形を拠点に活動し、今日も田園風景に囲まれた地元の喫茶店や道の駅で原稿に向かう。東北に根を張って書き続ける理由を尋ねた。 【写真】山形の喫茶店で原稿を執筆する深町秋生さん ――「“全編山形弁”がCOOL‼」。山形市で探偵業を営むシングルマザーを描いた「探偵は女手ひとつ」(光文社文庫)の帯の言葉だ。探偵と言っても、普段の仕事はサクランボ農家の手伝いや独居高齢者宅の雪かきなど便利屋同然という異色のヒロイン。作中で山形県内を舞台に次々起きる事件には、過疎や高齢化、貧困に苦しむ地方都市の実態が反映されている。 「探偵ものって、なぜか都会が舞台になります。(米国)ロサンゼルスのダウンタウンを行くフィリップ・マーロウみたいな。そういう図式を崩したかった。田舎の清らかなところと清らかじゃないところを書こうと思いました」
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