「戦略的ムダ」のススメ ――イノベーションを生むために、どんな工夫をしていますか。 「自分は専門外かもしれない」というような意見こそ出してほしいと言っています。たとえば技術開発をしているときに、人事担当の人間にも、「私はこの技術の専門ではないけれど、こう思う」ということを、あえて言ってもらいます。 専門外の人が言うことの多くは、時間のムダだったり、大したインパクトのない意見であることは否めません。ただ、ごくまれに光る意見がある。そのごくまれに起こるイノベーティブな発言を引き出すために、ムダな議論を許す環境をあえて作っています。 人間はどうしても先入観があるので、「この人は大学の偉い先生だから、正しいことを言うだろう」とか、「この人は専門外の人だから、トンチンカンなことを言うだろう」と思ってしまう。ひとつの専門だけでずっと育ってきている人は、知らず知らずのうちに、その専門のルールや既成概念に