小林かいち(本名:嘉一郎、1896~1968)は、近年注目されつつある京都の図案家です。 大正時代の後期から昭和初期にかけてのおよそ10年、絵はがきや絵封筒のデザインを数多く手がけました。 木版によるそれらの作品は、ピンクやブルーによる独特のグラデーション、赤と黒などの明快な色の対比の中に、女性像やハート、植物、月や星、トランプや十字架などを配したモダンなもので、現代にも通用する色彩感覚、デザイン力といえるでしょう。 かいちの存在は、以前から好事家の間では認知されていましたが、展覧会という公の場で取り上げられるようになったのは、最近のことです。 1992年のフィリップ・バロス・コレクション「絵葉書芸術の愉しみ」展、次いで2004年にはエスティ・ローダー・コレクション「美しき日本の絵はがき」展が日本各地を巡回し、そこに含まれた小林かいちの作品が脚光を浴びると、以後立て続けにその紹介が始まり