大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で、元主任検事前田恒彦被告(43)に実刑判決を言い渡した12日の大阪地裁判決は、検察側が「改ざん後の状況」として主張した元特捜部長らの改ざん隠蔽(いんぺい)事件に触れなかった。前田元検事は公判で「隠蔽は部長らの指示だった」と説明。二つの事件は密接に絡み合っており、検察の信頼を失墜させた不祥事の全容は解明されていない。 中川博之裁判長は午前10時からの判決公判で、最初に前田元検事の起訴内容を認定。捜査の見立てと異なるデータが入ったフロッピーディスク(FD)が村木厚子・厚生労働省元局長(無罪判決確定)らの公判に持ち出された場合、審理が紛糾するなどと考えた前田元検事が改ざんに及んだと動機を指摘した。 改ざん行為やその影響について、検察側は先月17日の論告で「司法の根幹を揺るがした」と述べたが、中川裁判長は「根幹を破壊しかねない所業」と表現を強めて非難。証拠隠滅罪