企業の従業員にとって、世間の耳目を集める新製品の開発に携わることほど、興奮し、自らに誇りを抱く瞬間はないといってもいい。そのプロジェクトの中心メンバーであるならなおさらだ。だが会社の命運がかかった製品であればこそ、つまずけばただではすまない。 そんな「信賞必罰」を実感させられるニュースが同じ業界のライバル企業で相次いだ。米IT大手のマイクロソフト(MS)とアップルの中心幹部がそろって辞任し、波紋を広げている。いずれも卓越した手腕で会社の成長に貢献しながら、主力製品の開発や組織でつまずくなど、まるで同じビデオテープを見ているように酷似したケースで、急成長するIT産業の企業経営の曲がり角を指摘する声も聞かれる。 MS中心幹部の辞任 MSの旗艦OS(基本ソフト)「ウィンドウズ」部門の責任者、スティーブン・シノフスキー氏(47)の辞任が発表されたのは11月12日のことだった。その数週間前には、MS