■時代の要請…23年目のミリオン 昭和61年に文庫化された本が異例の増刷を繰り返している。日本語論や読書論も手がける英文学者が、「考えることの楽しさ」を平易な言葉でつづった名エッセーだ。21年間で17万部という静かな売れ行きだったが、一昨年に人気が再燃。累計96万部を超え、「極めて異例」という23年目のミリオンセラー到達が目前に迫っている。 再ブレークのきっかけは、盛岡市のある書店員の推薦文だった。平成19年2月、《もっと若いときに読んでいれば…そう思わずにはいられませんでした》という手書きの推薦文を店内に掲げて平積み展開。うわさを聞きつけた筑摩書房が、同じうたい文句の帯を付けると人気が沸騰し、今年1月までに53万部に伸ばした。「誰が聞いてもピンとくる『魔法の言葉』。中高年が中心だった読者層が若い世代にまで一気に広がった」と、筑摩書房販売課の大河久典さんは振り返る。 ブームが一段落したとこ