―本作『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』について、まずは“イシュー”とは何か、ということをお聞きしてもよろしいでしょうか。 安宅 “イシュー”というのは一言でいうと、「その時その時の局面でケリをつけなければならないこと」「ハッキリさせなければならないこと」です。 知的生産においては、今答えが出ないと今後の方向が決まらない、という局面があります。たとえば、ある商品のマーケティングをやっていたとして、その商品が全然売れていないとします。その原因が、「商品が店の棚に並んでいない」のか「並んでいるが売れていない」のか、というのは根本的に違う分岐点ですよね。でも、それを議論しないで、「商品がよくないからだ」とか「営業力が足りないからだ」といった決めつけで仕事を進めてしまうことがよくあります。そういった場面で本当のカギになる設問が“イシュー”です。 私が以前にいた研究の世界であれ