猫は年4回発情する(交尾期がある)が、寒明けのが一番盛んである。なので、「猫の恋」は春の季語。ついでに言うと、鹿は秋に交尾し、妊娠期間は8カ月。したがって「孕鹿はらみしか」は、春の季語。 恋過ぎて盗みの猫と叩かるる 石塚友二 ちょっと面白い。「猫」も恋するが、「人」も恋する、ちょっと面白い。 恋猫の恋する猫で押し通す 永田耕衣 「恋猫」は、「浮かれ猫」で、春先に、にゃーにゃーうるさいやつがそれである(これも当たり前)。「恋する猫」は、人(他人)にゃ迷惑なもんだ、でも「押し通す」のは、いっそいい。 おそろしや石垣壊す猫の恋 子規 これなどは「押し通す」どころの騒ぎでない。何が「写実」だ、パワー俳句。 露伴が言ってるけど、「俳句の写実は、フィックスで撮るというのでなきゃいけねえ。写真機のおきどころを、ひとつの句で変えるのは関心しねえ」のだそうだ。 俳句は、「写真」というより「活動写真