「国外退去となった8人のほとんどはSVRとGRUに所属するスパイです」~総理官邸に迫るロシアスパイ、だまされた内調職員が手口を暴露【第1回】 ■罠にはまった内閣情報調査室員 内閣情報調査室に勤務していた水谷俊夫(仮名)は川崎駅前の商業ビルに入っている焼肉店に入ろうとしたとき、十数人の男に取り囲まれた。 元内閣情報調査室 水谷俊夫氏(仮名) 先頭に立つ男に、かつての同僚がいた。「ああ、Sさん…」水谷がつぶやいたとき、目の前に警察手帳が飛び込んできた。 「警視庁公安部です。君が待ち合わせた男は来ないよ。話を聞きたいから一緒に来なさい」 先頭の3人が警察手帳を掲げていた。顔見知りのSは、以前、内閣情報調査室に出向してきていた警察官だった。 このときの心境を水谷はこう語る。 「頭が真っ白になって、どういうことになっちゃったんだろうな、信じられないな、そういう感じで、しばらくそれからの記憶がないんで