『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』光文社 ジェームズ・ブラッドワース/著 濱野大道/訳 冒頭からあとがきまで、ジャック・ロンドンの『どん底の人びと ロンドン1902』を髣髴とさせた。百年以上も後に書かれた本がどうしてこれほど「どん底」なのかと思え、読んでいると気分が悪くなった。ありありと現場の情景が浮かぶからだ。 大げさじゃなく、ほんとうにアマゾンの章では吐きそうになった。 日本のブラック企業も真っ青という英国の地方の労働現場(アマゾンの倉庫、介護、コールセンター、ウーバー)に潜入したジャーナリストの迫真のルポだ。 著者も23歳になるまで最賃(最低賃金)に近い仕事を転々とし、大学に入り、大学院まで進んだ。そしてフリーのジャーナリストになったいま、社会の最下層に潜入して英国に何が起きているのかを探ろうとする。 この取材の動機やスタンスも、20世紀初頭のジャック・ロンドンとよ