◇建設ラッシュ 古い職人活用か 奈良市の国宝・正倉院(8世紀中頃)の屋根に残っていた奈良時代の平瓦のうち8割近くが、当時としては旧式の技法で作られたことが分かったと、宮内庁正倉院事務所が21日発表した。創建当時は東大寺境内の建設ラッシュで、専門家は「古い職人グループも駆り出されたのでは」と推測する。(渡辺征庸) 2011年10月~14年10月、正倉院で約100年ぶりに行われた大修理に際して、九州大の岩永省三教授(考古学)が古い瓦を調査。正倉院の瓦が本格調査されたのは初めて。 岩永教授によると、創建当初のものとみられる平瓦775枚のうち、77%の595枚が、8世紀中頃としては時代遅れだった「 桶巻 ( おけまき ) 作り」と呼ばれる技法で作られていた。桶状の型に粘土板を巻き付けて円筒を作り、縦に4分割するやり方で、表面を整える際に付いた職人の指や手の跡が鮮明に残っていた。 同様の痕跡が、南約
