蕎麦前を楽しみ、気の利いた酒の肴に舌鼓を打ち、〆に蕎麦をたぐる。 蕎麦をそうやって今日でいう「居酒屋」のように愉しむ姿が、 本来の蕎麦屋だったと本で知り、 江戸時代の人々を羨ましいと思った記憶が蘇った。 年を経るほどに蕎麦という文化に憧れ、惹かれ、 少しずつ、勉強していくうちに、 やっぱり蕎麦は楽しいなと実感できるようになった30代。 自分よりもひと回りも、ふた回りも上の世代の店主が営むお店へ行き、 いろいろと教えてもらい、それが有意義だったのだが、 一方で、最近、近い年の店主が営む蕎麦の店がもう少し増えれば、 もっと気軽に聞きたいことも聞けるかな、とも思っていた。 10月21日に開業したばかりの「酒と蕎麦 まき野」。 店主・牧野さんは元々和食の店で勤め、 その後、いくつかの飲食店で腕を磨き、この店のオープンに至る。 僕はエムズグリエ/musumatsuで勤務していた頃に牧野さんに出会った