そこにないなら恋ですね 桃聖純矢 何も望まないはずの私に訪れた感情の揺らぎに名前はあるのか? 百均ショップに湿度が充ちる。
コンドームをつけた上でセックスをすれば、妊娠の可能性は下げられる。ただ、射精する以上、その可能性はゼロとはならない。体内に精子が存在し続ければ、「予期せぬこと」が起こる可能性があり、それにより時に、他人の身体や人生までを大きく変えてしまうこともある。そのことを私は、決して望んでいない――そう考えて、パイプカット(精管結紮術)に臨むことになった評論家の荻上チキさん。しかしそこに至るの道のりは決して平坦ではなかったようで……? 男らしさ、孤独、性愛、セルフケア……中年男性として新たな親密圏とアイデンティティの構築に七転八倒する、新感覚の社会評論エッセイ連載がスタートです! 第3回は、不穏な術後のチキさんの経過。最後の一行をお見逃しなく。 【Day 1】 目が醒める。 体を動かそうとすると、痛みが走る。 そうだった。私は手術のために、手足を拘束されていたのだった。 麻酔を打ってから1時間ほどの時
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