十代の終わりから、二十代のはじめにかけて、ぼくは大阪の某有名歓楽街で水商売をやっていた。水商売といっても色々あるのだけど、ぼくの勤めていた店は、主に女性(時として男性)を相手にするホストクラブ、というようなあれではなく、お客さんのほとんどが男性(時として女性)であるところの、ホモスナックである。なぜゲイと書かずにホモと書くかといえば、当時お世話になったマスターが、自分たちのことをゲイとは言わず、ホモ、あるいはオカマ、と呼んでいたからだ。あたしたちはゲイなんてシャレたもんじゃない、しょせんオカマだから、というように。 なぜ自分がこの店で働くようになったのか、という理由に関しては、ま、いろいろあって、としか言いようがないのだけど、とりあえずぼくは面接において裸にさせられ「うん、この体だったら」というよくわからない理由で合格となり、「今日はみんなが女の子になる日だから、あなたは鶴子ちゃんね」と、