STAP細胞論文をめぐる騒動はサイエンスの枠を超え、現代日本社会の風潮をも浮き彫りにする機会となった。一連の経過から浮かび上がった論点を、メディア社会学者の武田徹・恵泉女学園大教授が解説する。 女性研究者の「キャラ」に世間は注目 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターによるSTAP細胞生成成功のニュースが初めて流れたのは1月29日。翌日に名門科学誌『ネイチャー』へ論文が掲載されることを予告し、論文主執筆者である小保方晴子ユニットリーダーと、彼女の研究の概要を紹介する内容だった。 山中伸弥・京都大学教授がその生成によってノーベル賞を獲得したiPS細胞が、複雑な遺伝子操作によって多能性を持たせていたのに対して、酸処理だけで体細胞を万能細胞にリセットする単純さは医学、生物学関係者に衝撃を与えた。だが一般社会が関心を持ったのはそれよりも、小保方晴子氏という若い女性研究者のキャラクターであった
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