自分はFW向きの選手なのか 2010年9月下旬。初秋と言うべき季節だったが、残暑はまだ厳しかった。豪壮な趣(おもむき)のある熊本城の向かいにあるホテルのカフェラウンジでは、Tシャツ姿の若者が店員にアイスコーヒーを注文した。平日の昼下がり、店内はゆっくりランチをとる年輩の旅行客で賑わっており、注文しかけたケーキはすでに品切れだった。 「熊本はいい町ですよ。まだこっちに来てから数週間しか経っていないけど、住みやすい。外国人にはよく間違われますけど」 柔和な色合いのソファに腰掛けた彼はそう言って頬を弛めた。 くっきりとした輪郭の目、男性的な太い眉、つんと高い鼻は北アイルランド人の父からもらい受けた。その顔立ちには茶髪が品良く似合い、180cmと身長も高く、アスリート系モデルのようだ。一方で表情は優しく仕草はおっとりとしていて、それは日本人の母から譲り受けたものかも知れない。 「英語は話せません。