無人島みたいな環境に1 人残された主人公が生き延びるために知恵を絞る、「ロビンソンクルーソー」 みたいな物語には、その環境に対峙していくための道具が欠かせない。 恵まれた環境は、小説を生まない。何も持たない人間でも生活できるような場所なら、 その人は生き延びる努力をする必要がないだろうし、取り残された主人公が、 軍隊が持ってるような装備一式を持ち運んでいたら、それは生存の物語でなくて、教科書になってしまう。 ロビンソンクルーソーみたいな、生き延びる努力を物語として表現するためには、 主人公が環境と対峙するための道具、シンプルで、一見すると役不足で、 主人公の能力とか、工夫に応えてその能力を発揮して、主人公が生き延びる 決め手になるような、そんな道具が欠かせない。 シンプルな、一見ごくありきたりの道具一つが、主人公の手にかかると思いもかけない汎用性を 発揮して、絶望的な状況を切り開いていく、