中国のオープンアクセス出版に関する報告書 アジア経済研究所学術情報センター・澤田裕子(さわだゆうこ) 国際STM出版社協会(International Association of Scientific, Technical and Medical Publishers:STM)と中国科学技術協会(China Association for Science and Technology:CAST)は2021年に相互協力を目的とした覚書を締結し、その成果として中国のオープンアクセス(OA)出版に関する共同報告書の中国語版「中国开放获取出版发展报告2022」、英語版“Open Access Publishing in China 2022”を2022年12月に同時公開した。冒頭で出版モデルの多様性、研究の公正性、国際協力という基本原則を掲げ、STMとCASTの共通認識を明らかにしている。本稿で
はじめに 1 人文科学分野各専攻の大学院生数の推移(1992-2019年度) 2 人文科学分野および「史学」の男女別大学院生数・男女比の推移(1992-2019年度) 所感 はじめに 前回、日本歴史学協会若手研究者問題検討委員会がウェブ・アンケート調査を実施するまでの経緯を紹介しました。*1 このウェブ・アンケート調査を開始するにあたって、日歴協若手研究者問題検討委員会はウェブページを作成し、歴史学のなかで若手研究者問題への関心を高めるために、大学院拡充政策以降の人文科学分野および「史学」の修士課程・博士課程学生数の推移を整理した表を作成しました。リンク先はこちらからどうぞ。 「大学院拡充化以降の20年間に史学専攻の大学院生・志願者がいかに減少してきたか」 これは西洋史若手研究者問題検討ワーキンググループのウェブ・アンケート調査への、上村敏郎さんのコメントを参考したものです。*2 上記の表
J-STAGE Data:オープンサイエンス時代の新たなサービス 科学技術振興機構・重松麦穂(しげまつむぎほ) 近年,情報技術の急速な発展を受け,あらゆる人々が研究成果へ自由にアクセスでき,それらを利活用できる環境が現実のものとなっている。このような環境を利用して実現される新しいサイエンスのあり方は「オープンサイエンス」と呼ばれている。その名を冠した様々な取組が世界規模で行われているが,中でも研究データの公開・共有はここ数年関心が高まっているトピックの一つである。人工知能(AI)の台頭に代表されるように,データを利活用することで新たな価値を創出する取組は産・学を問わず期待されている。また,研究不正の防止という観点から,多くの大学や研究機関,研究資金助成機関等がデータ管理・公開に係る方針を掲げ研究の透明性の担保に努めている。さらに,ジャーナルにおいてもデータの公開や共有に関するポリシーの整備
月刊みんぱくについて 国立民族学博物館の広報誌『月刊みんぱく』は、研究者の視点から世界各地のさまざまな状況を紹介しています。 本サイト『月刊みんぱくアーカイブズ』では、2005年4月号から2022年12月号までの記事を読むことができます(2023年3月現在)。サイトは年に一度更新されます。 創刊号から2022年12月号までの記事一覧は「目次一覧」ファイル(PDFとExcel)に収められています。1977年10月号(創刊号)から2005年3月号までは同ファイルにて目次のみを公開しています。 また、月刊みんぱくの最新号は発刊の翌月からみんぱくホームページでPDF版を公開しています。
ダブリンコアとメタデータの応用に関する国際会議(DCMI2023) 電子情報部電子情報流通課・村尾優子(むらおゆうこ) 2023年11月6日から9日まで、「ダブリンコアとメタデータの応用に関する国際会議(DCMI2023)」(E2460ほか参照)が韓国大邱広域市の慶北大学校でのオンサイトおよびオンラインのハイブリッド形式により開催された。オンサイトでの開催は2019年以来となる。 2023年の会議は「メタデータの革新:データ集約型世界における知識の活用」(Metadata Innovation: Enabling Knowledge in a Data-Intensive World)をテーマとし、オンサイトでは68人、オンラインでは56人が参加した。プログラムを概観するだけでも「ダブリンコアとAIの相乗効果」(Synergy between Dublin Core and AI)、「AI
学術出版物へのアクセス及びその再利用に関する報告書(EU) 調査及び立法考査局調査企画課・濱野恵(はまのめぐみ) ●はじめに 2022年8月,欧州委員会(EC)は,英・ケンブリッジ大学准教授のアンゲロプロス(Christina Angelopoulos)氏による報告書「欧州連合(EU)の著作権及び関連する権利とオープンアクセス(OA)を含む学術出版物へのアクセス及びその再利用に関する研究:例外と制限,権利保持戦略,二次出版権」を公表した。本報告書は,学術出版物へのアクセス及びその再利用に係る課題と,EUや加盟国,大学等における取組を分析し,今後の施策に関して勧告を行っている。本稿では報告書の主要事項を紹介する。 ●学術出版物の著作権の在り方に関する現状 学術出版物に関しては,研究者(著作者)から出版社への著作権の譲渡が行われる慣行がある。これにより,特に著作権の譲渡先が商業出版社である場合
第26回情報知識学フォーラム「研究データの管理・オープン化・利活用にどのように対応すべきか」 † 開催報告はこちら 日時:2021年12月18日(土) 10:30-17:30 会場:京都大学桂図書館2F オープンラボ・リサーチコモンズおよびZOOM配信によるハイブリッド方式 主催:情報知識学会 共催:京都大学図書館機構、京都大学東南アジア地域研究研究所、京都大学アカデミックデータ・イノベーションユニット、京都大学研究資源アーカイブ、京都大学学術情報メディアセンター、グローカル情報ネットワーク(順不同) 後援:学術資源リポジトリ協議会、記録管理学会、情報メディア学会、日本図書館情報学会、日本アーカイブズ学会、情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会、アート・ドキュメンテーション学会、デジタルアーカイブ学会、日本図書館研究会(順不同) ↑ 開催趣旨と概要 † 研究公正に関わる研究データの管理お
2013年に機関リポジトリでの博士学位論文(以下、博士論文)公表が義務化されてから、10年以上が経過しました。博士課程を持つ大学は、博士論文のインターネット公表をリポジトリ担当の定型業務として取り組んでおられることと思います。私自身もリポジトリの担当者として、博士論文のデータ収集と登録を担当したことがあります。そのなかで、気になったことがありました。 学術情報の中にはさまざまな資料の形式があるなかで、なぜ博士論文はインターネットでの公表が義務化されることになったのでしょうか。また、リポジトリへの登録をして担当者の手を離れた後、どのような流れでデータが流通していくのでしょうか。 この連載では、このような一担当者としての疑問を掘り下げて、博士論文のインターネット公表の「いま」をお伝えしていきます。 第1回は、博士論文の公表の歴史を振り返ります。 まず、日本における学位としての「博士」と「博士論
University Journals:出版を大学や研究者に取り戻す挑戦 京都大学東南アジア地域研究研究所・設樂成実(したらなるみ) 「学術雑誌の危機」が問題になり久しい。大手出版社による市場の寡占化が進み,雑誌の価格が高騰を続け研究成果へのアクセスに不均衡が生じている。大学図書館のコンソーシアムによる価格交渉やオープンアクセス(OA)ジャーナルの刊行など様々な手が打たれているが,論文掲載料など新たな問題も生じ,いまだ根本的な解決には至っていない。こうした状況に風穴を開けようと,欧州4か国から13大学が協力し,機関リポジトリをもとにしたOA出版のためのプラットフォームの運用に向けたプロジェクト, University Journalsが進んでいる。本稿では,このプロジェクトについて,主に季刊誌“LIBER QUARTERLY”の第30巻に掲載されたオランダ・ライデン大学図書館のSaskia
プレプリントサーバーarXivは、2022年2月17日付のブログ記事で、新たに投稿された論文に対して自動でDOIを付与することを発表しました。 背景として、研究成果をより発見・収集しやすくすることや助成機関の要請を挙げています。ブログ記事の中では、arXivは著者に代わり、2022年1月からDataCiteへのDOIの登録とメタデータの提供を開始したと述べています。 DOIは“https://doi.org/10.48550/”と各記事のarXiv IDを基にした値で構成され、2022年1月1日以降に論文を投稿した場合、arXivでの公開後24時間以内に付与されます。2021年以前に投稿された論文については、今後遡及的に対応を行うとしています。 New arXiv articles are now automatically assigned DOIs(arXiv.org blog, 20
研修生 三上 絢子 (北海道大学 附属図書館研究支援課) 派遣先及び期間 学術基盤推進部 学術コンテンツ課及びオープンサイエンス基盤研究センター 令和元年10月1日(火)~令和元年12月27日(金) 目的 学術機関において研究データ公開を行うために必要な手続きやこれからポリシー制定や体制づくりが必要になる点を検討する。具体的には、既に多くの学術機関で実現されている機関リポジトリでの論文のオープンアクセスのワークフローをベースとした、研究データを公開するためのワークフローを作成する。 内容 研究データ公開ワークフローの作成 各種データベースの打ち合わせ参加 学術会議・イベント参加 実務研修報告書(501.4 KB)
新しい学術情報検索基盤「CiNii Research」プレ版について 国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センター・大波純一(おおなみじゅんいち) 2020年11月6日に,国立情報学研究所(NII)のオープンサイエンス基盤研究センター(RCOS;E1925参照)は,新サービスである「CiNii Researchプレ版」(以下「プレ版」)を公開した。本サービスは2021年4月公開予定の「CiNii Research」(以下「本公開版」)の先行バージョンとして,試験的にリリースされたものである。本稿では「CiNii Research」の開発の経緯と今後について紹介する。 ●CiNiiについて NIIの学術情報検索基盤として広く知られるCiNiiは,時代と共に役割や機能を変えて発展を続けてきた(E638,E1697,E1894,CA1691参照)。しかし近年,学術情報公開における環境は大き
2022年12月15日、国立大学図書館協会は、資料委員会オープンサイエンス小委員会が「RDAメタデータ標準カタログ(日本語訳)」を公開したことを発表しました。 研究データ同盟(RDA)が提供する、研究データのメタデータ標準を示した“RDA Metadata Standards Catalog (MSC)”について、2022年8月29日時点の内容を抜粋・日本語翻訳したものであると述べられています。 お知らせ(国立大学図書館協会) https://www.janul.jp/ja/news ※2022年12月15日付で、「研究データ流通のためのメタデータ標準日本語訳(資料委員会オープンサイエンス小委員会)を公開しました」が掲載されています。 研究データ流通のためのメタデータ標準日本語訳(資料委員会オープンサイエンス小委員会)を公開しました(国立大学図書館協会) https://www.janul
国立国会図書館デジタルコレクションによる学会誌のインターネット公開についてのご案内 >>【PDF版】 歴史学関係団体各位 新型コロナ感染症への対応で日々、ご尽力されていることかと推察いたします。 日本歴史学協会は、2020年5月23日、新型コロナ感染症への対応の一環としまして、文部科学大臣、文化庁長官、国立国会図書館長をはじめとした関係各所に、公開要望書「国立国会図書館デジタルコレクションの公開範囲拡大による知識情報基盤の充実を求めます」を、賛同いただいた本協会加盟団体の連名で送付しました。 この取り組みはインターネット上でアクセスできる学術研究資料の範囲を広げることを目的としたものです。新型コロナ感染症の拡大に直面して、大学図書館をはじめとした各地の図書館が臨時休館・一部機能の停止、ないしは利用者の来館が困難な状況が生じました。現在も一部にその影響が残っています。このような状況は、いち早
データ再利用性と論文アクセス性の向上に向けた奈文研の取組 奈良文化財研究所・高田祐一(たかたゆういち) ●はじめに 奈良文化財研究所(奈文研)では、2024年1月に「文化財データリポジトリ」を、また同年3月に「文化財オンラインライブラリー」を全国遺跡報告総覧(以下「遺跡総覧」)のウェブサイト内で公開した。本稿ではこれらのサービスについて紹介する。 ●全国遺跡報告総覧について 奈文研が運営する遺跡総覧は、日本全国の文化財に関する調査報告書類の情報を一元的に集め、提供するオンラインデータベースである(E1700、CA1936参照)。研究者、学生、歴史に関心がある方々の貴重な情報源となっている。報告書類の書誌情報、調査成果を要約した抄録、全文PDFが含まれており、歴史と文化を理解するための有用なデータベースである。 ●デジタル時代の調査報告のありかた 遺跡総覧では、約3万9,000件の報告書類の
「学術コミュニケーション」を定義することは難しい。米国では、大学研究図書館協会(ACRL)が「学術コミュニケーション改革への理念と戦略 」と題した提言1の中で、以下のように位置付けている。 学術コミュニケーションとは《システム》であり、その中で研究やその他の学術的著作が生み出され、その質が評価され、学術コミュニティに頒布され、将来の利用のために保存される。この《システム》には、査読付きジャーナルへの掲載といった公式な手続きによるコミュニケーションと、メーリングリストのような非公式な手段の両方が含まれる。(宮入訳) 《システム》は制度や体系、秩序などと訳すことも可能だが、ここでは、さまざまなものが相互に作用する複雑な機構、あるいはそこに含まれる一連の原則、組織化された方法、といった意味も含め、敢えてそのまま《システム》としよう。この提言はACRLが2003年に「学術コミュニケーションイニシア
オープンアクセスの査読誌PLOS ONEに、2020年6月5日付けで、オープンアクセス誌を発行する出版者について調査した論文” Open access publishers: The new players”が掲載されています。 論文では、DOAJシールが付与されたオープンアクセス誌を刊行する出版者とAPCについて調査が実施されています。調査では、DOAJシールが付与されたオープンアクセス誌において、一部商業出版社が大きな割合を占めることが報告されています。特にSpringer Natureはジャーナル件数では全体の35%、論文件数では全体の65%を占めています。APCについては、医学分野のオープンアクセス誌が最も高額であることが報告されています。一方、27%のオープンアクセス誌はAPCを要しません。 著者らは、学術コミュニケーションシステムを制御しかねない商業出版社による寡占の存在を指摘
Nature誌のオンライン版に、2021年3月23日付けで記事“The fight against fake-paper factories that churn out sham science”が掲載されています。偽の科学論文を注文に応じて製造する「論文工場」(paper mill)と、学術界・出版社等との戦いをめぐる近年の動向を紹介しています。 記事の冒頭では、英国王立化学会(RSC)の学術誌“RSC Advances”等に掲載された論文に「論文工場」による組織的な偽造の疑いが見つかり、2021年1月にRSCがこれら論文の撤回を表明したことを取り上げています。これらの論文が中国の病院に勤務する著者のものであったことや、中国の医師は論文発表が昇進要件に含まれることが多いものの、研究に割ける時間が限られていることに触れています。その上で、中国政府も論文偽造の問題への対処として研究評価の改
「データ引用原則の共同宣言」:データ引用を学術界の慣習に 文教大学文学部・池内有為(いけうちうい) クラリベイト・アナリティクス・ジャパン株式会社・野村紀匡(のむらのりまさ) 名古屋大学宇宙地球環境研究所・能勢正仁(のせまさひと) 2020年1月,筆者らが所属する研究データ利活用協議会(Research Data Utilization Forum:RDUF;E1831参照)のリサーチデータサイテーション小委員会は,国際組織FORCE11(The Future of Research Communications and e-Scholarship)による「データ引用原則の共同宣言(Joint Declaration of Data Citation Principles:JDDCP)」の日本語訳を公開した。FORCE11は研究データの流通や利活用を推進する活動を行っており,2014年に公
概要 より包括的なハンドブックとしていくため、様々な分野の有識者が参画する「デジタル時代のデータ利活用等における法的制度的課題に関する検討会」を令和5年度に情報・システム研究機構(ROIS)に設置し、現在継続的な改版を行っています。 近年の学術研究では、分野を問わず、多種多様なデータを取り扱うことが増えています。データの利活用は、今後の学術研究を進展させるために極めて重要である一方、取扱いを誤ったときには研究の中止や研究成果の撤回に追い込まれるといったリスクも増える等、その取扱いは容易ではありません。研究者の皆様からは、とりわけ個人情報を含むデータに関するルールが具体的にどのようなものであるか分からず、その取扱いを躊躇するといった声が聞かれます。さらに、2022年4月から施行された新たな個人情報保護法においては、公的部門・民間部門を問わず学術研究分野の規律が統一されるとともに、安全管理措置
LSE(London School of Economics and Political Science)は、3月5日、"The Coronavirus (COVID-19) outbreak highlights serious deficiencies in scholarly communication"と題する記事を公開した。 本記事は、新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行に伴い、Wellcome Trustの声明およびそれに対する出版社や助成機関などによる署名という肯定すべき取り組みもあるとしながらも、社会のニーズに応えるには遠く及ばないと指摘。 事例として、1960年後半から出版されたコロナウイルス関連論文の半分以上が自由にアクセスできない状態となっていることや、ウイルス学以外あるいはコロナウイルス関連以外の論文が新たな知見の獲得に貢献しているにもかかわらず埋もれてし
学術情報システムのメタデータ収集・作成方針案の作成 佛教大学図書館/国立情報学研究所オープンサイエンス基盤研究センター・飯野勝則(いいのかつのり) 「これからの学術情報システムのメタデータ収集・作成方針について(案)」(以下「方針案」)は,これからの学術情報システム構築検討委員会(以下「これから委員会」)のもとに設置されたシステムワークフロー検討作業部会(以下「ワークフロー部会」)によって,策定が進められている文書である。筆者はこれから委員会の委員,およびワークフロー部会の主査としてその策定に関与しており,本稿では,その背景と概要について説明したい。 これから委員会は,「これからの学術情報システムの在り方について(2019)」(以下「在り方(2019)」)において,学術情報システムの5つの「進むべき方向性」を提示している。方針案は,かかる方向性を踏まえたうえで,学術情報システムにおける望ま
考古学・文化財のためのデータサイエンス・サロンonlineワークショップ 文化財論文ナビ×博物館・図書館連携で拡げるオープンな文化財情報 日 時:2021年7月18日 13:00~17:30 会 場:オンライン開催(Zoomを使用します) 主 催:考古形態測定学研究会 参加資格等:とくにありません。このテーマに関心のあるあらゆる方のご参加を歓迎いたします。 ※オンライン開催です。Zoomをご準備いただき、通信料金等は参加者各自でご負担ください。 定 員:450名 ※参加用Zoomリンクは申し込みをいただいた方にのみお知らせいたします。事前申し込みをいただいていない方はご参加いただけません。当日、参加申し込み者リストにもとづき、Zoom上での参加承認をいたします 参加費:300円 ※事務局経費に充てさせていただきます 趣旨説明:考古学・文献史・建築史・美術史に関連する文献その他の情報の蓄積は
2022年3月5日、日本図書館情報学会が、臨時シンポジウム「日本における大学図書館のグランドデザイン」をオンラインで開催します。 日本における大学図書館のグランドデザインに関する情報を共有し、競合・対立する考え方の整理を行い、参加者がそれぞれの立場で考える際の一助となる場とすることを目的としています。 参加費は無料であり、団体会員・非会員も申込可能ですが、申込が多い場合には抽選を行う可能性があるとしています。 登壇者は以下の通りです。 ・パネリスト 小山憲司氏(中央大学)、竹内比呂也氏(千葉大学)、野末俊比古氏(青山学院大学) ・コーディネーター 岸田和明氏(慶應義塾大学) ・司会 三浦太郎氏(明治大学) 臨時シンポジウム「日本における大学図書館のグランドデザイン」の開催(日本図書館情報学会, 2022/1/11) https://jslis.jp/2022/01/11/specialsy
ユネスコによる教育・研究における生成AI利用ガイダンス 九州大学インスティテューショナル・リサーチ室・森木銀河(もりきぎんが) ●はじめに 2022年11月にリリースされたOpenAIのテキスト生成AIサービスChatGPTを端緒とし、現在に至るまで、生成AIの開発、提供、利用について積極的な議論が交わされている。ユネスコは2023年4月に「高等教育におけるChatGPT利用のクイックスタートガイド」(ChatGPT and artificial intelligence in higher education: quick start guide)を公表した後、同年9月に「教育・研究における生成AIに関するガイダンス」(Guidance for generative AI in education and research;以下「ガイダンス」)を公開した。このガイダンスは、2021年にユ
2020年12月16日付で、Nature誌のオンライン版に、同誌の収集・分析したデータに基づいて、2020年の新型コロナウイルス感染症の世界的な大流行が学術出版・研究成果公開にどのような影響を与えたかを解説する記事が掲載されています。 同記事では、主に次のようなことを指摘しています。 ・Digital Science社のディスカバリープラットフォームDimensionsのデータによると、2020年に発表された論文の約4%が新型コロナウイルス感染症に関連している。医学文献データベースPubMedでは、2020年に索引された論文の約6%が新型コロナウイルス感染症に関連している。 ・米国の人工知能(AI)技術開発等の専門企業Primer社の、PubMedに収録された新型コロナウイルス感染症関連論文に対する分析によると、当初は感染症の拡大・入院患者の予後・診断・検査などのテーマが扱われていたが、5
国立情報学研究所(NII)オープンサイエンス基盤研究センター(RCOS)は、高等教育機関における共通の教育コンテンツと受講履歴を提供する学習管理システム「学認LMS」の正式運用を、2021年6月14日(月)より開始いたしました。 学認LMSでは、現在、以下の研究データ管理講座を提供しています。 合格基準に達した場合は、コース修了のバッジが発行されます。 <研究データ管理講座> ・「研究者のための研究データマネジメント」コース ・「研究データ管理サービスの設計と実践」コース ・「オープンサイエンス時代の研究データ管理」コース その他、情報セキュリティ講座「倫倫姫の情報セキュリティ教室」コース等を受講することができます。 機関管理者ユーザ様は、同じ機関に所属する受講者の受講状況を確認することができるオプション機能をお申込みいただけます。 詳しくは、学認LMSユーザサポートサイトをご確認ください
「論文工場(paper mill)」へ取るべき行動:COPE報告書 筑波大学大学院人間総合科学学術院・大森悠生(おおもりゆうき) 2022年6月,英国の非営利団体である出版倫理委員会(COPE)は国際STM出版社協会と共同で行った「論文工場」問題に関する調査の報告書を公開した。 「論文工場」とは,論文を「製造」して研究者に代わり学術雑誌へ有料で投稿することや,製造した論文のオーサーシップを販売することを指す。論文工場は商業的な企業の形を取るものもあり,組織的に論文の製造・販売を行っている。製造された論文はそれに記載されている著者が執筆したものでない上,信頼できない不正な内容を含む可能性がある点などが問題とされる。 以下では,報告書の概要を紹介する。 「論文工場」の影響は分野・地域を問わず広まっており,ある出版社は「論文工場」の標的となった2つのジャーナルに対し,70か国以上から疑わしい論文
2021年2月18日、Springer Nature社が、論文のバージョンに対する研究者の意識・選好に関する調査報告書“Exploring researcher preference for the Version of Record”を公開したことを発表しました。 研究者向けのSNSであるResearchGateにおけるSpringer Nature社の利用状況の調査と、ResearchGateの利用者約1,400人を対象としたオンラインアンケート調査が行われ、報告書では、以下をはじめとした結果がまとめられています。 ・多数の研究者が、通読や引用等において、プレプリントや著者最終稿(accepted manuscripts)よりも出版社版(version of record)の方が好ましいと回答した。 ・出版社版の方が読みやすく、信頼性があると考えられている。 ・約90%の研究者は、出版
変化はゆるやかに? 突然に? 私がその変化に気づいたのは、2020年3月のことでした。研究者にとって馴染み深いGoogle Scholarの検索ボックスの下に「COVID-19に関する記事」という見出しと、12のリンクが表示されていたのです。 Google Scholarとは、インターネットに掲載された情報のうち、研究論文や図書などの学術情報に特化して検索できる学術情報検索サイトです。これを使って日々の研究活動を進めている研究者は少なくないでしょう。 私も含め、市民がよく目にする検索サイトGoogleには、先の見出しとリンクは紹介されていません。その名称をここに並べてみましょう。CDC、NEJM、JAMA、Lancet、Cell、BMJ、Nature、Science、Elsevier、Oxford、Wiley、medRxivの12個です。これらは医学や健康科学、保健衛生学の研究者や専門家、
IAPによるハゲタカジャーナル・学会についての調査報告書 名古屋大学附属図書館・大平司(おおひらつかさ) 2022年3月,140以上の科学アカデミー等が加盟している世界的な国際学術団体InterAcademy Partnership(IAP)が,いわゆるハゲタカジャーナル・学会(predatory journals and conferences)に関する調査報告書“Combatting Predatory Academic Journals and Conferences”(以下「報告書」)を公開した。 本報告書は,2020年に設置されたIAPの国際ワーキンググループによる2年間の研究プロジェクトの結果として作成された。その目的は,学術的なコミュニティがハゲタカジャーナル・学会(CA1960参照)についての認識・理解を促進し,それらへの対応方法を提示することである。 本稿では本報告書の内
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