くらしの灯 いきいき点す 菜種梅雨 (鈴木真砂女『夕螢』) 3月下旬から4月上旬にかけて、この時期に降る雨のことを、「菜種梅雨(なたねづゆ)」と呼ぶらしい。菜の花の鮮やかな黄を濡らし、緑を育む、春先のあたたかな雨。正確には連日降る“長雨”を指すらしいので、今日の雨は当てはまらないのでしょうが。単なる“春雨”っすね。 日本語には「雨」の表現がべらぼうに多いらしく、手元にある『美しい日本語の辞典』を見るだけでも、ざっと200〜300くらいの表現が掲載されている。季節や時間による違いにとどまらず、場所によっても異なる表現があるから驚きだ。3月22日限定の「高野の大糞流」なんて雨もあるそうな。 日常を彩り、脳と心を揺さぶる「雨」の存在 春雨、桜雨、花の雨、催花雨、杏花雨──この時期に降る「雨」を示す表現は、冒頭に挙げたもの以外にもこれだけある。見るからに「花」が関連している単語が多く、自然と「春」
