あの日から、3年が経過した。 震災の海は、今の地球にとって、ある意味特別な存在となっている。 私がいつも潜っている岩手県北部のある場所では、震災直後から今日に至るまで、瓦礫の撤去作業はまったく行われておらず、海底の時間はあの日から止まったままだ。 3年間、定期的に水中撮影を行ってきたが、車や家電製品などいつも同じ場所で出会うものも多い。 私はそんなものたちと、本来の持ち主とは違う時間を共有した。 人が災害を受け入れて、新しい生活に順応していくように、海底に沈んだものにも生き物たちが寄り添う。 そして、3年という年月を内包した震災の海は、私の前に新しい世界の造形物として現れた。 【写真展 併催イベント】鍵井靖章「震災の海に潜る」スライドトークショー プロフィール 鍵井靖章(1971年生まれ) 大学在学中から水中写真家・伊藤勝敏氏に師事し水中写真を志し、オーストラリアなどでダイビングガイドをす