新年早々大当たりの一冊。どれくらい面白いのかを生理学的に述べると、体内のテストステロンの濃度が上がり、ヘモグロビンの量が増え、適度なストレスとともにドーパミンが快楽をもたらしたほどだ。と言われたところで、この時点ではなんのこっちゃという感じかもしれないが… 本書における一つの側面は、金融マンのトレーダー取引がありのまま描写されているということである。プロのトレーダーが利益を出したり損失を出したりする様子や、損益が増減されるたびに気分が高揚したり落ち込んだりする様子。そんな、強気市場と弱気市場の大波に翻弄されるトレーダーたちの一挙一動は、世界中の市場に大きな影響をおよぼす。 そしてもう一つの側面が、こうしたふるまいの背後にある生理学的なメカニズムに踏み込んでいるということである。たとえばリーマン・ショックにおいて信じがたいほどのリスクを引き受けることになった時、トレーダーの体内ではどのような