しかし、現状はまったく異なる。高齢化する日本社会は、短時間の秘められた情事への興味を失い、出生率の低下によって若者も減少。2015年、自分は性欲が弱いと回答した18〜39歳の若者は約25%にのぼり、20年前より20%増加した。今やラブホテル産業の頼みの綱は、日本の観光業だけだ。 興味深いことに、ラブホテル産業の低迷により、ラブホテルと普通のホテルの境界線が曖昧になっていった。2020年の東京オリンピックが近づくなか、日本政府は世界からの訪日観光客にアピールするべく、ラブホテルを一般ホテルに改装するビジネスへと乗り出した。 とはいえ、ラブホテル産業を再び立て直せるほど、観光客の利用が増えているわけではない。多くのラブホテルが廃業に追い込まれ、廃墟と化している。そんな朽ち果てたホテルを撮影しているオーストラリア、メルボルン出身の写真家、シェーン・トムズ(Shane Thoms)に話を聞いた。