不動産投資で過剰な借り入れに走る個人投資家に対し、金融機関が牽制(けんせい)する動きを強めている。他からの借り入れを隠して複数の金融機関で多額の融資を引き出した投資家に返済を求めるケースも出てきた。スルガ銀行の融資不正などで金融庁も不動産融資の拡大に警戒を強めている。金融機関の姿勢の厳格化が広がれば不動産市況にも影響を与えそうだ。 大手銀行などが問題視しているのは、「1法人1物件スキーム」と呼ばれている手法だ。多くの物件に投資する際、個人では借り入れに限度があるが、投資のたびに別会社を設立し、多額の融資を引き出す。実態は個人なのに多数社への別々の融資に見せかける。 例えば年収1千万円の会社員が複数の物件を買い、すでに数億円の不動産投資ローンを抱えている場合は、新たなローンは組みにくい。しかし投資のたびに合同会社をつくり、物件の買い手や融資の借り手とすれば、金融機関には毎回新たな取引に見える