ヘンリー・アダムズは、『ヘンリー・アダムズの教育』という自伝を残している。その中で彼は自らを「彼」という三人称で表現し、その心の動き、アメリカ社会での自分と自分の家族たちの振舞いを描写している。こうすることで、彼は自分自身を客観視するとともに、こういう突き放した目線をもつことでアメリカ史における「アダムズ」を表現しようとした。しかし、この自伝にはそれ以上にこの時代のアメリカ社会における知識人たちの精神史が記されている。いつか訳してみたいものだ。売れないだろうけど。 ここで、ごくごく簡単にアメリカ政治史を振り返ってみる。政党としてのフェデラリスツは1812年戦争(対英戦争。別名「マディソン氏の戦争」)を期に解体し、第6代大統領ジョン・Q・アダムズ政権終了まではリパブリカンズ一党体制となる。これが「好感情の時代」であるが、もちろん好感情なわけもなく、 セクション間の利益の分裂の高まりとともにつ