会社が持ビルを売却して大変ショックを受けている。一刻も早く逃げ出さなければならぬ。そんな焦りを感じている。その焦りは「会社ヤバい」というありふれた危機感からではない。テナントで入っていたキャバクラに社割いわゆる社員割引で行けなくなるという、より重大でプリミティブな理由からである。 この売却を担当していたテナント部長とテナント課長の間も、上層部からの重圧と現実に挟まれてかなりしんどかったらしく、相当険悪な関係になったうえ自称軽いノイローゼ。そして昨日、遂に2人は爆発した。社内で言い合い。罵り合い。呪い合い。最終的には取っ組み合いをするに至ったのだ。オッサン同士の争いは醜い。手足を動かすたびにワイシャツから放出されるむせかえるような加齢臭。静観を決め込むつもりであったがオウム事件以来異臭騒ぎに敏感になっている僕は彼らの間に割って入り「屋上へ行こ」「屋上へ行こ」「屋上へ行こ」とサラリーマン金太郎