ミュージアムとは、その空間へ足を運ぶ人たちだけのものなのだろうか? 文化庁 国立近現代建築資料館 主任建築資料調査官と東京国立博物館 特任研究員を兼任し、歴史的資料のデジタル化とその公開利用に長年にわたり取り組んでいる田良島哲(たらしま・さとし)氏に、コロナ禍を経た今後の美術館・博物館の情報発信とデジタルアーカイブのあり方についてご執筆いただいた。(artscape編集部) ネット上で見えなくなったミュージアム 今回のコロナ禍の最中、ミュージアムが運営する多くのウェブサイトを見ながら、あらためて強く感じたことがある。これまでウェブサイトに載っていた情報は、そのほとんどが「ミュージアムに行く人」つまり、実際に館に足を運んで、展示を鑑賞したり、イベントに参加したりする来館者のためのものだったということだ。ミュージアムの活動が縮小を余儀なくされ、展覧会やイベントの中止や延期、展示室の閉鎖が相次ぎ
