ペットボトルの原料に使われるプラスチックを放射線計測装置の心臓部である「シンチレータ」という部品に利用し、高い感度で計測することに成功したと、放射線医学総合研究所(千葉市)の中村秀仁研究員らが19日付英国王立協会紀要電子版に発表した。 放射線の計測は、放射線を受けてシンチレータが発した光を、光電子増倍管と呼ばれるセンサーでとらえる。ペットボトル用のプラスチックは安価なため、がん診断に使われる陽電子放射断層撮影装置(PET)など、さまざまな放射線検出器の低価格化につながる可能性があるという。 研究グループは、身の回りのいろいろなプラスチック製品に放射線を当てて実験。ペットボトルの切片で、わずかに放射線を検出できることに注目した。主成分の「ポリエチレンテレフタレート」というプラスチックの一種を厚さ5ミリの板状にしたところ、極めて高い感度で検出できた。