【特別寄稿(上)】菅政権のめざすことと、その背景 宇沢弘文・東京大学名誉教授、日本学士院会員 ・TPP参加が意味するもの ・「開国」とは何だったか? ・自由貿易は人間を破壊する ・社会的共通資本を守るのが政府の役割 ・パックス・アメリカーナと新自由主義、市場原理主義 年初に第二次改造を行った菅政権はTPP(環太平洋連携協定)参加について6月をめどに判断するとして国会等に臨んでいる。TPPは繰り返し主張してきたように農業問題にとどまらず、「この国のかたち」が問われる問題であり、国民的な大議論が必要だ。そのために何が根本問題なのかを見極める必要がある。本紙では今号と次号の2回にわたって菅政権の問題について宇沢弘文東大名誉教授に寄稿してもらう。 パックス・アメリカーナの惨めな走狗となって ◆TPP参加が意味するもの 日本が現在直面している最も深刻な問題は、菅直人首相自ら「平成の開国」と叫んで、積