●「え?さっきのオタク、君の知り合いじゃないの?」 今から20 年近く前。あるレコード会社の新人スタッフだった私は、某人気声優さんのコンサート会場に手伝い要員として参加しました。沢山のお客さんで賑わう物販ブースの傍らで、先輩社員やマネージメントのスタッフさん達とCDやグッズの売上について話をしていると、一人の見知らぬ男性が近づいてきて、ウンウンと相槌を打ったり、その声優さんのプロデューサーやディレクター、制作会社名等の固有名詞を織り交ぜながら、ごく自然に会話へ加わってきたのです。 その場では「関係者の人だろう」と思い、なんとなく聞き流していたのですが、彼が去った後に「さっきの方ってどなたですか?」と皆へ訊くと、「え、柴崎くんの知り合いじゃないの」「え、私は〇〇さんの知り合いだと思ってました」という意外な答えが返ってきました。そう、いかにも「裏方」らしい振る舞いをしていた彼は、その日のコンサ