切断操作という言葉があります。 社会学の概念。共同体に特有な問題処理の作法。 下記の引用は、宮台真司『これが答えだ』朝日文庫、92-3頁より。ISBN:4022613777 「かつての未開な共同体では、疫病が起こったり不具が生まれたりすると、生け贄を捧げるなどの儀式をして、問題を「聖なる領域」に囲い込み、皆で安心するという操作がありました。僕たちの複雑な社会にも、実は似たような機能を持った操作があります。 例えば、訳がわからない事件が起こったときに、誰が悪いのか皆で考え、コイツが悪いんだって突き止めれば、カタルシス(感情浄化)が得られます。一般に、複雑な社会では、原因がわからないことが最も大きな不安要因になるので、是が非でも何かのせいにする。そういう操作を「帰属処理」と言います。 ところが、しばしば原因の帰属先として「異常なもの」が選ばれます。コイツは精神障害だとか、被差別民族出身だとか。