能代市浅内の能代ロケット実験場は、国道7号と能代港を結ぶ港湾道路の2キロ南にある。周囲は現在、「キンダケ」が採れる松林となっているが、実験場が開設された1962年当時は植栽した松の樹高も低く、電気も通っていなかった。 実験場の新設工事に携わった平川次夫さん(82)=能代市=は「松は膝丈で、周辺は砂原。未舗装の道路に徐々に電柱が立っていった。砂が飛んできて、現場をすだれで囲って作業したな」と話す。 能代初の実験は、当時、日本最大のL(ラムダ)ロケットの地上燃焼試験。岩城町道川(現由利本荘市)からの移転が正式決定して、4カ月足らずの同年10月29日だった。東大生産技術研究所(東大生研、後に宇宙科学研究所)の助手、加勇田(かゆた)清勇さん(73)=同=が初めて能代に来たのもこのころ。浜風の冷たさに「冬は厳しい所だろうな」というのが第一印象だった。 当時の日本の目標は、人工衛星打ち上げ。61年に東