現地発、クロアチア・サッカー報告(37) 赤きサムライ〜トミスラフ・マリッチ 「天皇杯はマリッチのためのカップだった」 2006年元旦。ファイナル後の記者会見でギド・ブッフバルト監督は一人の戦士を讃えた。この試合を最後に浦和レッズを去るトミスラフ・マリッチ。先の契約がなくとも彼はチームのために得点を挙げ続け、浦和レッズを優勝へと導いた。 彼のキャリアは苦労と努力の繰り返しだった。一時は呼吸困難で現役復帰すら絶望視された彼は、2005年夏に浦和レッズへと辿り着いた。一人で試合を決めるエメルソンと何かと比較されながらも、彼は不屈の精神力と闘争心、そしてチームへの忠誠心でサポーターのハートを掴んでいった。 ピッチでは常に魂をもって戦い、ピッチを離れれば優しき紳士。彼こそ「サムライ」という言葉がふさわしい。 インタビューは3月22日、彼の故郷ヘイルブロンで行った。何度も取材予定の試合が雪の