政府が「コンテンツ立国」というスローガンの下、日本のコンテンツ産業の育成に力を入れている。しかし海外で成功を収めている作品や業界はごく一部だ。世界で通用する作品を生み育てるのに、何が欠けているのだろう。 9月21日に、東京ゲームショウ2007併催としてホテルニューオータニ幕張で行われた「コ・フェスタ フォーラム in TGS 2007」。エンターテインメントグローバルミーティングと題して、各界で活躍するキーパーソンが世界のコンテンツ市場の現状や日本においての課題などについて、熱い討論を繰り広げた。 討論に参加したのは、香港のインディペンデント映画制作会社Ediko Filesの社長で「HERO」「LOVERS」「僕の彼女を紹介します」などのヒット作をプロデュースしたBill Kong氏、オズ代表取締役で、「帝都物語」「リング」「呪怨」「犬神家の一族」などの邦画だけでなく「呪怨」のハリウッド
メディア企業がP2Pサイトを通報するというのは容易に想像できますが、その逆が起きました。BitTorrentトラッカーサイトPirate Bayが、メディア企業から攻撃されたと警察に通報したとか。 同サイトによると、P2P対策ソリューション企業MediaDefenderから流出した電子メールから、レコード会社や映画会社がハッカーを雇って同サイトを攻撃させていたことが分かった、とのこと。そこで20世紀Fox、EMI、Universal Musicなど大手メディア企業のスウェーデン支社をインフラの破壊、DoS攻撃、ハッキング、スパム送信のかどで通報したということです。 昨年にはMPAA(米国映画協会)から不正アクセスされたとしてBitTorrentサイトが訴訟を起こしたこともありました。P2P対策企業がファイル共有ネットワークにデコイをばらまいて妨害工作をしているというのは割と知られていますが
「私的録音録画補償金」制度の見直しを検討するため、文化庁文化審議会著作権分科会に設けられた「私的録音録画小委員会」の会合が9月26日に開かれた。中間整理案提出に向けて最後の会合となった今回は、著作物の複製を「私的使用」として認める範囲を定めた著作権法第30条の適用範囲について改めて議論があった。 第30条の適用範囲についての議論は、録音物・録画物だけを対象に行われている。中間整理案には、海賊版からのコピーや違法公開サイトからのダウンロードについて「『情を知って』(海賊版・違法サイトと知って)いた場合は私的使用の範囲から外し、違法とすべき」という意見が「大勢であった」と記載されており、一部報道ではこれをもとに「YouTubeのようなストリーミング配信サイトで違法公開されたコンテンツを閲覧する場合も、違法となる公算が大きくなった」といった解説がなされていた。 これについて文化庁の川瀬真著作物流
日本弁理士会の会員に配付されているパテントという雑誌がありますが、その最新号(9月号)で、大滝均弁理士が「まねきTV事件その後」というタイトルの記事で、MYUTA事件についても触れられています。 結論部分では、大滝先生は以下のように書かれています、 上記判決(栗原注:MYUTA判決のこと)の見方は、ネットワークの技術現場の感覚とは若干異にするのではないだろうか。ネットワーク社会と言われる社会では、それこそ現実的にも仮想的にも重畳的に入り乱れ、もはや、物理的に一台とか、複数台の集合とかでネットワーク構成を認識すること自体が、余り意味を有しないものとして捉えられがちである(中略)そのことからすれば、本件MYUTA判決は、依然として、設置場所におけるサーバの物理的台数が一台毎か、複数台毎かを厳しく問題にしたケースであり、ネットワーク技術者の考え方とかけ離れた感が否めない。 私もこの見方には全く同
ミュージシャンがそのプロモーション(宣伝活動)にインターネットを使うとしたら、どんな方法があるのだろうか。 ざっと思いつく限り挙げてみるだけでも、バンドやシンガーのウエブサイト=「オフィシャルサイト」を設置し、ブログや音源、動画の一部を公開したりといった手法はもはや「古典的」であり、アマチュアでも当たり前のようにやっている。他に、日本独特の手法として、「インタラクティブ配信」の大半を占める「着うた」「着メロ」を新曲の宣伝活動に使う例も、ほぼ定着した感がある。 ここまでの「Web 1.0」レベルというか「第一世代」の範囲内に限っていえば、日本の音楽業界がさほど欧米に遅れを取っているとは私は思わない。むしろ携帯電話端末を利用した宣伝活動は、彼の国よりさらに先進的かつ貪欲であるとすらいえるだろう。 2007年現在から将来を見据えるとき、注目すべきポイントは、次の二点ではないだろうか。「Web 2
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日本における漫画の保存と利用 1.漫画保存の必要性の増大 漫画やアニメが「世界に冠たる日本の文化」といわれて久しい。中でも「漫画」は,今や「MANGA」という国際語になっている。海外から高い評価を得てから国内でも見直されるという現象は,江戸時代の浮世絵の海外流出とよく似ている。海外からの評価は別にしても,漫画はその時代を反映する表現として次世代へ伝えてゆくべきものであり,そのためには当然,十全に保存されなければならない。 漫画の進化発展は目覚ましく,終戦直後の物資の無い時代に出版されたいわゆる赤本漫画は,玉石混淆で粗末な製本と安易な内容のものもあったが,手塚治虫作品に代表される素晴らしい作品も多数出版されていた。その後の1950年代半ばから出始めた貸本漫画にも玉石混淆の状況が受け継がれ,ここからも後に大家といわれる漫画家が大勢デビューしている。例えば,さいとう・たかをや白土三平,水木しげ
現代マンガ図書館の内記稔夫氏、日本マンガ学会の秋田孝宏氏がマンガの保存の現状につてまとめた総説が、国立国会図書館発行の「カレントアウェアネス」誌No.293(2007年9月20日)に掲載されました。この総説はWEBでも公開されています。 図書館に関する調査・研究のページ “Current Awareness Portal” - CA1637 (No.293) - 日本における漫画の保存と利用 / 内記 稔夫,秋田 孝宏 - 2007年発行(CA1622〜 ) - カレントアウェアネス (季刊) http://www.dap.ndl.go.jp/ca/modules/ca/item.php?itemid=1075 「世界に誇るマンガ文化」とか言われる方には、是非ともこの総説を読んでいただきたいと思います。 マンガ文化を後世に伝えていくためには、現状ではあまりにも不十分だと思います。
これは私信エントリーです。当ブログは私信が多く、何の話か分からない閲覧者の方には申し訳なく思いますが、そういうものと割り切ってお付き合い下さい。 【目次】 1.光市事件は単純な事件なのか 2.被告人について汲むべき事情 3.弁護団の主張変更と説明責任について 4.被告人が「友人」に宛てた手紙について 5.訴訟遅延について 6.絞殺状況を示す図画の頒布について 7.「なめないでいただきたい」発言について 8.今枝仁弁護士の涙と弁護団のテレビ出演について 9.何故、弁護団批判者が批判されるのか 10.批判者の不法は懲戒請求が初めてではない 11.弁護団は本件裁判を死刑廃止論に利用してはいない →最終弁論での死刑回避の可能性について(10月8日22時10分頃追記) 12.死刑・厳罰化論の前提について 13.二つの人権を巡るすれ違い(10月5日22時30分頃加筆) 14.犯罪被害者支援について(1
ダウンロードの規制に関する報道で、よく「違法サイトからのダウンロードが規制されるようになる」という書き方がされることがあります。一般の人は「『違法』サイトなんだから規制されて当然だ」という印象を持つのかもしれませんが、そもそも、著作権法の観点における「違法サイト」とは何なのでしょうか? ドクロの絵が描いてあれば違法サイトなのでしょうか?権利者や著作権管理団体が、これは違法サイトであると主張すれば違法サイトなのでしょうか?権利者の許諾なしで著作物がアップされれば違法サイトなのでしょうか?(もし、そうだとすれば、このオルタナティブ・ブログだって、誰かが悪意あるいは不注意でコメントで他人のポエムを投稿すれば違法サイトになってしまいます。)ニコニコ動画は違法サイトなのでしょうか?しかし、先日のフジテレビのとくダネでは、何の問題もないかのようにニコニコ動画の「ねこ鍋」動画が紹介されていましたね(ニコ
米Apple CEOのSteve Jobs氏の爆弾提言を覚えているだろうか? 同氏は今年2月,DRM(Digital Rights Management:デジタル著作権管理)技術をオンライン音楽販売サービスの楽曲に適用している現状について異議を唱えた(関連記事:米AppleのSteve Jobs氏,「デジタル著作権管理技術の廃止が理想的」)。 ことの発端は欧州の消費者団体だった。 彼らは「Appleが自社の独自DRM技術である『FairPlay』によって音楽販売サービス『iTunes Store』と携帯音楽プレーヤ『iPod』を結びつけ,他社を排除していることは独占であり違法だ」と主張。この非難が欧州の各地に飛び火していった。ノルウェーの規制当局も動き,10月1日という期限を設け,Appleに改善要求を出した(FT.comに掲載の記事)。 これを受け真っ向から反発したのがJobs氏である。
「アニメの2次創作、権利者と一緒にビジネス化しませんか」――アニメ製作会社の団体・日本動画協会は今秋、こんな趣旨の企画「アニメ・チャレンジオーディション」を行う。著作権をがっちり守りながらビジネス展開してきたアニメ業界にとって、2次創作を広く許諾するという試みは異例だ。 「鉄腕アトム」「魔法の天使クリィミーマミ」「機動警察パトレイバー」「新世紀エヴァンゲリオン」など、動画協会会員企業が権利を持つアニメのキャラクターやストーリーを広く開放。Flashアニメ、漫画、キャラクター商品、ビジネスアイデアといった2次創作を7~8月に募集した。 応募があった約70作品のうち、権利者の審査を通った11作品を、10月4日から開かれる「Japan Animation Contents Meeting 2007(JAM 2007)」(秋葉原UDX)で展示。来場する流通業者や玩具メーカーなどと、ビジネスの可能性
なんか、エラく反応があったのでまとめてエントリーで回答。 なまえーさん。コメントありがとうございます。 死刑に反対する事の理由も、弁護団の主張を許容する事との関連も書かれていない。 別に、死刑に反対、に理由も何も無いでしょう。強いて云うなら、「死刑が贖罪になるとは思えない」ですが。で、弁護団の主張が全て正しい、と云うつもりもありません。単に、主張を変えた、事を非難される筋合いはない、というだけです。 最後の段落は暴論。「犯罪を犯した者の罪から目を背けるとしたら、いざ自分の身にふりかかってきた時に、救いの手を期待するべきではない。」 個人レベルの犯罪にそもそも、救いの手、なんて期待できていないでしょう?現状でも。 私が述べているのは、(冤罪を連発するような)検察の主張を、(被告や弁護団が気に入らないからといって)検証もせずに丸飲みするような先例を作ってしまえば*1、実際に冤罪であるような事態
たっぷり休んで再開一発目がこれ。あまり触れたくもない話なのだが、なにせニュースでは(NHKまでもが)連日取り上げる話なので、ちょいと述べる。相変わらず総リンチ状態である事には変わりが無いようでウンザリしてくる。 特に騒ぎのネタになっているのが、被告人が供述調書や1審、2審と証言を変えた事だ。 <光母子殺害>遺族の本村さん、改めて死刑判決求める陳述 本村さんは「(1、2審で)起訴事実を認め、反省していると情状酌量を求めていたが、すべてうそだと思っていいのか。ここでの発言が真実だとすれば君に絶望する。この罪に対し、生涯反省できないと思うからだ」と述べた。 Yahoo!ニュース−毎日新聞−より引用 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070920-00000113-mai-soci 本村さんが感情を害した事に関しては触れない。マスコミや周囲の反応はおおむね 「
以前、ブライアンカプランが自分のホームページで、世の中の人があまりにも経済学的な酷い誤解を沢山しているために、政府も政策を間違え続けるのだというようなことを書いていた。世の中の人というのは、ほぼ全ての人である。学者であるか研究者であるか、経済学者であるか否かも関係ない。 経済学では、現在もまだイデオロギー上の対立が強く、経済学上の結論なるものも、そのイデオロギーから演繹されているようなものが多い。 そのため、経済学における学問的な真理も、あまり定かではない状態だ。 こういう点が、自然科学とは大きく異なる、経済学がまだ科学とは呼べない理由だろう。 といっても、ある程度異論のない決定的な部分もあるはずで、D.フリードマンがいうように、それはクラシカルリベラルの知見であったりする。 #前にも書いたように、モンペルランソサエティの活動は、クラシカルリベラルの知見を第三世界の左翼知識人に教授すること
テキサス州でのVirginとCreative Commonsに対する訴訟について、Larryがこんな記事を書いた。 On the Texas suit against Virgin and Creative Commons Slashdot has an entry about a lawsuit filed this week by parents of a Texas minor whose photograph was used by Virgin Australia in an advertising campaign. The photograph was taken by an adult. He posted it to Flickr under a CC-Attribution license. The parents of the minor are complainin
Wiki Wayレトロスペクティブズ 2007年9月26日 ITカルチャー コメント: トラックバック (0) (これまでの yomoyomoの「情報共有の未来」はこちら) 私事に属する話ですが、当方が初めて翻訳した書籍『Wiki Way コラボレーションツールWiki』(ソフトバンククリエイティブ)が刊行されて、この9月で5年が経ちました。訳者の感慨など他の人にはどうでもよいことは承知していますが、当方の人生で最も苦しかった時期に作業を行ったという意味で忘れられない仕事です。 あれから5年、Wiki を巡る状況は大きく変わりました。今ではニューズウィークのような一般誌で「ウィキ」の記事を見ても驚きませんし、ビジネス書に『ウィキノミクス』なる書名が冠されるなど、言葉の認知は IT 業界の外にも広がっています(さすがに「ウィキブランド」なるバズワードには面食らいましたが)。 もちろんそれに最
EFF's Web 2.0 Compliance Bootcamp 電子フロンティア財団が、Web 2.0 企業向けのコンプライアンスのブートキャンプを開催するとのこと。もちろんビリー抜き。 EFF ってこういうこともやるんだ。Web 2.0 方面のコンプライアンスという目のつけどころが面白いね。扱うトピックは以下の通り。 誹謗中傷、嫌がらせなどの不品行 フェアユース、フリーカルチャー、リミックスの権利 DMCAの理解 顧客の通信記録など秘密情報を要求する警察、悪党、裁判所への応答の仕方 Napsterみたいなるのを避け、著作権戦争で安全な側を確保する方法 匿名言論の権利 ポルノ、略奪者、警察の圧力 クリエイティブ・コモンズライセンス、ウェブキャスト、ハッキングされたときの対処
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