スピッツが1994年9月21日にリリースした5thアルバム『空の飛び方』。“ロビンソン”(1995年)でのブレイク前夜だが、後にドラマ「白線流し」(1996年)の主題歌としてヒットした“空も飛べるはず”のほか“青い車”“スパイダー”などを収めた名盤で、今年は30周年記念盤のリリースも話題になっている。そんな『空の飛び方』について『スピッツ論 「分裂」するポップ・ミュージック』の著者、伏見瞬に論じてもらった。 *Mikiki編集部 ★連載〈94年の音楽〉の記事一覧はこちら 1994年J-POPの状況と『空の飛び方』に張り巡らされた文脈 スピッツというバンドの状況論としても、1994年のJ-POPの状況論としても、『空の飛び方』についてならいくらでも語ることができる。1991年のデビューから最初の3枚のアルバムと1枚のミニアルバムがほとんど売れず(いうまでもなくすべてが名盤である)、プロデュー
