石破茂首相は9日、衆院を解散する方針だ。石破氏がかつて否定的だった憲法7条に基づく解散となる。権限の行使のあり方として妥当なのか、また、憲法改正が争点の一つとなるなか、有権者は何に注目すればいいのか。憲法学が専門の九州大教授、南野森(しげる)氏に聞いた。 ――今回の石破内閣の解散をどう見ていますか。 ◆石破氏は解散について「自分たちの都合で、選挙で勝つためにするのは駄目だ」と述べてきました。その議論は正論で、「大義なき解散は権力の乱用」と評価する憲法学の考え方からしても正しかった。今回はそのしてはいけないことをまさに自分でしており、非常に問題だと考えています。 ――どういう問題があるのでしょうか。 ◆憲法には、衆院で不信任とされた内閣が総辞職か解散を選ぶという69条以外に、天皇の国事行為が列挙された7条に解散が定められています。戦後のこれまでの解散はほとんどが7条解散ですが、どんな時でも解