2014年12月25日に、2013年度の国民経済計算確報の一部が公表された。その中で最も衝撃的なものは、「家計貯蓄率のマイナスへの転落」という部分であったと思う。さっそく、「国債金利の急上昇のリスク」というコメントが報道の中に見られた。ここでは、公表されたマイナスの貯蓄率は、真の貯蓄率よりも低く出されている可能性が高いことを示す。しかし、安心してよいわけではない。公表された家計貯蓄率のマイナス転落は、「国債金利の急上昇」とは別の種類の国家破綻へと向かう太い道に近づいていることを意味している。その内容を説明することにする。 最初に、国民経済計算に示された家計貯蓄率の推移を表すグラフを下記に示す。 見てわかるとおり、家計貯蓄率は趨勢的に低下し、2013年度に始めてマイナスに転落した。家計貯蓄率を決定する要因はいくつかあるが、その中で最も重要な要因は、少子高齢化・人口減少であろう。その理由を裏づ
2015-01-08 円高の大波が引いた後 日本銀行に対する批判は過剰ですが、円高の日本経済への悪影響が大きかったことについては正鵠を射た指摘です。 【日本の解き方】日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め 【日本の解き方】日本経済は再び高成長できる 90年以降の低成長、元凶は金融引き締め (1/2ページ) - 政治・社会 - ZAKZAK 三つの円高の大波が日本経済を襲い、製造業の空洞化を促進しました。 1985年9月のプラザ合意 1993年1月のクリントン大統領就任(露骨な日本叩きの一環の円高誘導) 2008年9月のリーマンショック 他国と比べると、プラザ合意後の円の推移が異常に見えます。 2003年1月に溝口財務官による35兆円介入が始まるまで、実質実効為替レートはプラザ合意前に比べて平均約40%上昇していました。2007年にプラザ合意前の水準に戻る過程で史
アメリカで格差是正の動きが鈍い理由の一つに、「貧困層出身ながら、努力で成功を掴みとった人の存在」があります。「必ず成功の道はある」という観念が、格差是正を「悪平等」と否定してしまうわけです。 しかしながら、個々の成功例は、その他大勢の見本になるわけではありません。集団としてみれば、持って生まれた初期条件の差は歴然としており、社会の上層の子は上層に、下層の子は下層になる傾向があります。平々凡々に生まれた人が、上流階級に属する親の子として頭脳明晰・身体頑健・容姿端麗に生まれた人に勝つことが困難であることは、「人間には生まれつきの差はない」というイデオロギーに憑りつかれていなければ分かることです。 日本の総人口はトンガやフィジーをはるかに上回りますが、ラグビーでは勝てないのは、持って生まれた初期条件=体格差を超えられないためです。短距離走でジャマイカ人、長距離走でケニア人に勝てないのも同じことで
ビヨルン・ロンボルグが言及していたので知った報告書。 Legatum Institute, Commission on Wellbeing and Policy Wellbeing and Economy (pdf) まだ読みかけだけれど、なかなかおもしろいわー。作った委員はアンガス・ディートンからレイヤードなど、えらい人いっぱいで、非常にきちんとしたもの。 で、この中で出てくるのが冒頭に挙げたグラフ。職業別に見た、平均年収と人生満足度。これを「幸福」と解釈すべきかどうかは議論のわかれるところ。「幸せ」「人生の満足度」「福祉」といったことばの選択で、この手の調査の結果がごろごろ変わるのは有名だから。でも、まあ幸福みたいなもんですな。 明らかに全体的な傾向としては、満足度と年収とには相関があって、しかも収穫逓減が効いてるらしい。だけれど、職業別の差は非常に大きい。酒場のオヤジ (public
ビヨルン・ロンボルグが言及していたので知った報告書。 Legatum Institute, Commission on Wellbeing and Policy Wellbeing and Economy (pdf) まだ読みかけだけれど、なかなかおもしろいわー。作った委員はアンガス・ディートンからレイヤードなど、えらい人いっぱいで、非常にきちんとしたもの。 で、この中で出てくるのが冒頭に挙げたグラフ。職業別に見た、平均年収と人生満足度。これを「幸福」と解釈すべきかどうかは議論のわかれるところ。「幸せ」「人生の満足度」「福祉」といったことばの選択で、この手の調査の結果がごろごろ変わるのは有名だから。でも、まあ幸福みたいなもんですな。 明らかに全体的な傾向としては、満足度と年収とには相関があって、しかも収穫逓減が効いてるらしい。だけれど、職業別の差は非常に大きい。酒場のオヤジ (public
先生、どうしちゃったのでしょうか。ざっと読んで引っかかるところが幾つかあり、さらに読むと矛盾がより露呈する感じです。マーケットに弱い人でしょうか。@fujisawaIFE
「銀行・信金を合わせた総貸出平均残高」のグラフを見て、「アベノミクス以降、明らかに貸出が増えてる」『「銀行にブタ積み」というのは誤報』と主張するページ*1が流れてきた。リフレーション政策の推進者が書いたらしい。しかし、グラフを見ても安倍内閣発足のはるか前の2011年に底を打っているように見えるし、貸出量を見たところでブタ積(=不要な日銀当座預金)の量が分かるわけではない。グラフを描き直して再検討してみよう。 1. 貸出量が底を打つのは2011年前半 まず銀行貸出量の推移を見てみるが、最尤法で単純に構造転換点を探すと2011年6月、プロットした期間中の最低値は2010年11月となっている。大雑把に2011年前半に、貸出量が底を打ったと言っていいであろう。アベノミクスに関係ない。
従業員は1日の中で疲労を溜めていくと、職務規定を無視しがちになることが定量調査で明らかになった。マネジャーは職場の安全や倫理を保つうえで、休憩の重要性を改めて認識すべきかもしれない。 きつい勤務環境で長時間働けば、確実に疲労困憊する。だが新たな調査によれば、職場でハードな1日を過ごすことにはもう1つの隠れた代償があるという。すなわち、二次的な作業――さほど目を引かず上司にも声高に称賛はされないが、組織の安全や倫理を保つうえで不可欠な作業――を怠ってしまうのだ。 ただし若干の朗報もある。十分な休憩を定期的に取れば、事態を大きく改善できるようだ。 アメリカ心理学会が発行する『ジャーナル・オブ・アプライド・サイコロジー』誌に掲載された新たな論文は、「1日を通して仕事の負担が蓄積していくと、ルールの順守状況にどう影響が及ぶのか」を初めて測定している(英語論文)。共著者たち(ペンシルバニア大学ウォー
世界中の「悪」を滅ぼさんとする十字軍的情熱に憑りつかれたヨーロッパ(系)人の日本攻撃が続いてます。日本人の中にも手先がいるので要注意です。 BBC News - Why hasn't Japan banned child-porn comics? It's a description which supporters of manga strongly reject. But as the Olympics approach, outside eyes will turn to Japan, exerting a powerful pressure for manga and anime to be part of what people see as "cool Japan" rather than "weird Japan". 「表現の自由」と言いながら、エリートはリベラルイデオロギー
マンキューはサックスのProject Syndicate論説にリンクしただけであるが、一応このシリーズのネタとして拾っておきます。今回はブラッド・デロングにもそのサックスの論説の引用役として中間に登場して頂きます。 グレッグ君 ジェフ・サックスがポール君について書いているよ。 ブラッド君((本石町日記さんもこのエントリを[https //twitter.com/hongokucho/status/552390704560087041:title=ツイートされている]。)):うん、もちろん僕はジェフリー・サックスが正気を失ったと思っている。訊くまでもないじゃないか? 年率2.2%の実質GDP成長が「勢いが良い」なんて正気を失っていない人が言うわけなど金輪際ないだろう? −ジェフ・サックス「ポール・クルーグマンとオバマ回復」から: ポール・クルーグマンは一つの主要なメッセージを彼の忠実な読者に
サービス終了のお知らせ SankeiBizは、2022年12月26日をもちましてサービスを終了させていただきました。長らくのご愛読、誠にありがとうございました。 産経デジタルがお送りする経済ニュースは「iza! 経済ニュース」でお楽しみください。 このページは5秒後に「iza!経済ニュース」(https://www.iza.ne.jp/economy/)に転送されます。 ページが切り替わらない場合は以下のボタンから「iza! 経済ニュース」へ移動をお願いします。 iza! 経済ニュースへ
1955年、東京都に生まれる。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省入省。理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官などを歴任したあと、2006年から内閣参事官(官邸・総理補佐官補)。2008年退官。金融庁顧問。2009年政策工房を設立し会長。2010年嘉悦大学教授。主要著書に『財投改革の経済学』(東洋経済新報社)、『さらば財務省』(講談社)など。 高橋洋一の俗論を撃つ! 元財務官僚の経済学者・高橋洋一が、世にはびこるもっともらしい「俗論」の過ちをズバリ解説。 バックナンバー一覧 昨年の安倍政権の総選挙圧勝で、株価は上がるという、長い目で見た見方がある。ところが、ごく短期の目先をみると、そう一筋縄にはいかないようだ。その典型が、6日の日経平均急落525円安である。 原油安とギリシャ不安と新
渡辺 康仁 日経ビジネス副編集長 1994年日本経済新聞社に入社。2002年から2004年まで日経ビジネス記者。日経新聞に戻り、編集局経済部などを経て2013年から日経ビジネス副編集長。アベノミクスの行方に関心を持つ。 この著者の記事を見る
2015年の年明けに、暗い話は少々心苦しいが、「アベノミクスの陰の部分」を国民に知っていただく必要がある。 白紙委任していない国民、依然カギ握る「第3の矢」 「アベノミクスの3本の矢」のうち、第1の矢の金融緩和、第2の矢の財政出動が進み、残る第3の矢の成長戦略が成果を遂げるかが、カギとみられる。 暮れの衆議院選挙では、アベノミクスは失敗だと訴えた野党に反し、道半ばだが「この道しかない」と訴えた安倍首相の下、与党で前回並みの議席数を獲得したことから、国民は「アベノミクをもう少し見てみよう」という判断をしたとみていいのだろう。 選挙の結果は、決して国民が安倍政治のすべてを白紙委任したということではないのだが、選挙は「比較の世界」のことだから、現政権の続行を後押しすることにほかならない。 期待がかかる第3の矢の成長戦略とは、既存の産業で埋もれているものを再興する、あるいはこれまでになかった産業を
では、15年は電機各社にとってどんな1年になるのだろうか。 電機大手各社の成長を下支えした部品、素材ビジネスは、ますます強みを発揮することになりそうだ。 シャープの液晶事業は、スマホ向けの中小型パネルが好調で、世界的にシェアを拡大している中国スマホメーカーからの旺盛な需要に支えられて、基幹拠点の亀山第2工場はフル稼働。ソニーもイメージセンサーや電池を今後の成長戦略の軸に据えて、安定的利益確保に向けた体質転換を図る。 パナソニックは、収益性の低い家電分野よりも、安定的に利益確保しやすい自動車分野や住宅分野において利益率向上を目指す。日立、東芝、NECはBtoB事業での収益体質をさらに強化する考えだ。 こうしてみると、15年の電機大手の成長戦略は、BtoBに委ねられたといってよさそうだ。 ■大河原克行(おおかわら・かつゆき) 1965年、東京都出身。IT業界の専門紙「週刊BCN」編集長を経て2
ここ数年低迷を続けてきた日本の大手電機メーカーに完全復活の狼煙(のろし)があがった。サムスン電子など韓国メーカーがウォン高などの影響で業績が低迷しているのと対照的に、日本メーカーの2015年は、円安や構造改革、法人向け重視の戦略が実を結ぶ年になるというのだ。電機業界を長年ウオッチしてきたジャーナリストの大河原克行氏が迫った。 電機大手8社(日立製作所、パナソニック、ソニー、東芝、富士通、三菱電機、NEC、シャープ)が発表した15年3月期の通期見通しの合計値は、売上高が前年比0・6%増の46兆6700億円、営業利益は8・7%増の1兆9000億円、当期純利益は25・2%増の6950億円。営業利益率は4・1%と、4%台への回復を見込んでいる。 日立が過去最高の営業利益を目指すほか、パナソニックは、来年度の営業利益目標を1年前倒しで達成する計画を打ち出すなど、各社の見通しは強気だ。 長年に渡る構造
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