かつて「幸福の王国」として世界から注目されていたブータン。だが、その実態は国民の幸せとはかけ離れているものだった。現在のブータンを英「ガーディアン」紙が報じた。 中国とインドという2つの大国に挟まれた小国ブータンは、国の発展を「国民総幸福量」(GNH)で計測する取り組みから「幸福の王国」として知られている。GNHは極端をよしとせず、中庸を目指す仏教の「中道の教え」に基づく尺度だが、近年そのバランスは失われている。 2008年にブータン政府によって初めて導入されたGNHは、数年おきに個人を直接訪問して148の質問をおこない、その結果から算出する。人口の1.4%を無作為に抽出しておこなわれた直近の2022年の調査では、0〜1までの数値で示される国民の平均幸福度は0.781であり、2015年と比較して3.3%は確実に幸福度が向上したことが示された。 だが、こうした楽天的な評価とは裏腹に、政権与党